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「斎藤美奈子」入門としてうってつけ。
『あほらし屋の鐘が鳴る』(1999/01 朝日新聞社) 文春文庫〔'06年〕
本書は、著者が'90年代後半に女性誌に掲載した評論やエッセイをまとめたものです。
「あほらし屋の鐘が鳴る」とは、著者が上方育ちの友人に教えてもらった言い回しで、受け狙いでふざけたことを言う者に釘を刺す場合の言い回しらしいです。
大袈裟な言い方をすれば、タイトルに出版界等に対する著者の危機感(プラス若干の諦め感)が込められているように感じました。
女性誌批評が軸ですが、矛先はさらに本や映画、テレビ番組から芸能人にまで向けられています。
批判するばかりでなく、お薦め本も数多く紹介しています。
個人的には、「ハードボイルド小説=男のハーレクイン」説にやや納得。
竹内久美子の本は「すべてがオヤジ好みの解釈」だという説に深く納得。
小林よしのり『新ゴーニズム宣言スペシャル宣言・戦争論』を〈民族主義的国家観に基づく幼稚な戦争肯定論〉としているのにも賛同。これについて著者は、幻冬舎は英語版・中国語版を出して配布せよ、世界の人がどうとらえるか、と言っています。
「斎藤美奈子」入門としてうってつけというか、気軽に読める本です。
'99年の刊行ですが、なかなか文庫化されず、「わたる世間は鬼ばかり」とか「もののけ姫」(著者に言わせれば、「この作品には"文科系の半端なインテリおじさんを喜ばせるアイテム"がいっぱい仕込まれているそうです、縄文文化論、日本中世民衆史...etc.)とか、それらを批判することが一部ギョーカイでタブー視(?)されているものに対してもズケズケと物申しているためかなと思ったりもしましたが...。
【2006年文庫化[文春文庫]】