「●人事マネジメント全般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●人事・賃金制度」【021】 宮本 真成 『年俸制の実際』
人事パーソンへの応援歌であり、人事パーソンのキャリア形成に関する示唆に富む。
『日本人事 NIPPON JINJI~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~』(2011/08 労務行政)
財団法人労務行政研究所の創立80周年を記念して発行された本とのことで、多彩な業界で活躍している15人の人事パーソンやOB・OGへのインタビュー集という構成をとっています。以前にパイロット版をちらっと読んで、なかなか興味深い企画のように思いましたが、今回通して読んでみて、共感させられる部分が予想以上に多くありました。
インタビューの内容は、若い頃の苦労話、仕事での壁をいかに乗り越えたか、人事パーソンとしての信条や大切にしているもの、経営者や労働組合との関係構築方法など広範囲に及び、何れも示唆に富むエピソードやコメントを含んだもので、15人の話を一気に読んでしまいました。
「人事」の仕事に携わる人事パーソンというのは、今まではあくまでも裏方という位置づけであり、個人がその「姿」を見せることは少なかったと思いますが、本書では、それぞれがビジネスパーソンとしてのキャリアをどのように積んできたかが自身の言葉で述べられていて、小説を読むように興味深く読めます。
何れ錚々たる15人の顔ぶれですが、会社に入った時から人事をやるつもりだった人はおらず、社命等により人事に配属になった人が殆どであり、そうした中、"サラリーマン"という枠組みを超えて、どのように自分のやりたい仕事を発見し、自分を磨き、自己実現を図ってきたかが、体験的に語られています。
大企業だからといって人事施策や諸制度がオートマチックに企画立案、導入されていくわけではなく、そこには人事パーソン一人ひとりの、社員にやる気を持って仕事をしてもらいたいという思いが込められており、また、経営層・労働組合との信頼関係がその支えになっていることを改めて感じました。
登場する人事パーソンに共通していると思われた点は、人事部門にいながらも他部門への転出を希望するなど会社組織の現場を知りたいという意識の強い人や、人事のことだけを考えるだけでなく常に会社全体、世の中全体のことを考える志向を持った人が多いことです(人事=スペシャリストといった一般的なイメージとは随分異なる)。
そう思いながら読んでいたら、堀場製作所の野崎治子氏が、自身へのインタビューの中で、「現場目線に立ち、多方面へアンテナを張ることが大事」としっかり要約していました。
人事部門は社内でもエリートが集う部署という見られ方をすることが多いわけですが、ここに登場している人事パーソンは、その殆どが、入社以来ずっと順風満帆に陽の当たる道だけを歩んできたわけでなく、個々のキャリアの中では不遇の時代があったことが窺えます。そうした逆境を彼らが乗り越えることができたのは、それぞれが持つ強い意志と実行力の賜物であったと共に、メンターとなる経営者や上司との出会いが、そのキャリアの節目にあったことも見逃せないと思いました。
「人事」の役割は、個人の能力を最大限に引き出し"人を活かす"ことに外ならないと、あとがきの「発刊によせて」で、齋藤智文氏と共に本書の取材及執筆を務めた溝上憲文氏が書いています。
同僚をやる気にさせるにはどうすればよいか、部分最適に陥らず経営の方向性を見据えた全体最適を見据え、社員を一つのベクトルに導いていくにはどうすればよいのか、といったことについて、随所に経験に裏打ちされた提言が見られ、一般のビジネスパーソンや会社経営者が読んでも啓発されるものは多分にあるかと思われます(いわんや人事パーソンをや)。
溝上憲文氏は、「人事部に元気がないと言われて久しい」とも書いていますが、個人的にもそれは感じられ、金融不況による緊縮財政、相次ぐM&Aなどによる先行き不透明な状況下で、非常に優秀なはずの人材が、極々短期的な視点でしか制度の改革にあたっていなかったりするのを見ることもあります。
その制度改革すら課題山積で、やる気はある(或いは、やる必要は感じている)ものの、どこから手をつけていいのか分からず、途方に暮れているという状況も、少なからずあるかと思われます。
本書は「人事」への応援メッセージが多分に込められているとともに、本が売れるとすれば、やはり「人事」はやや元気喪失気味なのかとも思ったりします。ただ、そうした中でも、次代のリーダーたらんという人は少なからずいるでしょう。あとがきで齋藤智文氏が書いているように、そうした人にとって「リーダーシップ発揮のためのよりどころ」となる本ではないかと思いました。





昨年('11年)10月に56歳で亡くなったスティーブ・ジョブズの軌跡を追った本ですが、彼の人生のターニングポイントとなった幾つものシークエンスにおけるジョブズを撮った、余白スペース無しの大判の写真が充実していて、ジョブズの様々な発言と組み合わせたレイアウトも美しく、ジョブズの言葉の力強さを引きたてています。




こうした、ますます複雑化・多様化する社会や企業において、多くの人や組織が直面している「孤立」や「セクショナリズム」といった問題に解決するには、「個々の知を結集させ、皆で立ち向かう仕組み」が求められ、個人や個々の組織が独力で乗り越えられない壁に直面した時は、従来の「(チーム内)チームワーク」という概念を超えて、あらゆる知恵を総動員する必要があるのではないか、一人ひとりがコミュニティに貢献し、全員が力を合わせる時代が今ではないか―というのが、著者の主張です。

Marcus Buckingham
原題は"The One Thing You Need To Know...About Great Managing, Great Leading, and Sustained Individual Success"(2005)で、ギャラップの調査員だった著者(Marcus Buckingham(左写真)、現在は作家兼コンサルタントとして執筆・講演活動を行っている)が、多くのマネジャー、リーダー、仕事面での成功者へのインタビューを通して得た知見に基づいて、優れたマネジャー、優れたリーダー、個人として継続して成功を収めている人に共通する特性を、それぞれに端的に絞り込んで示しており、まさにタイトル通りの内容となっています。

さらに、世阿弥の「守破離」の教えを引いて、サラリーマンの成長ステップを、最初は師に決められた通りのことを忠実に守る「守」のステージ、次に師の教えに自分なりの応用を加える「破」のステージ、そしてオリジナルなものを創造する「離」のステージに分け、この「守」→「破」→「離」の順番を守らない人は成長できないとしています(「守」が若手時代、「破」が中間管理職、「離」が経営側もしくは独立、というイメージのようです)。