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「チーズはどこへ消えた?」の著者らによる寓話風ビジネス書のはしり。
『1分間マネジャー―何を示し、どう褒め、どう叱るか!』〔'83年〕
スペンサー・ジョンソン 『チーズはどこへ消えた?』('00年/扶桑社)
'80年代にアメリカで出版され始めた行動科学的なマネジメント書は、日本にも多く翻訳輸入されましたが、'83年に邦訳出版された本書は、そうした日本での翻訳本ブームの端緒となったものです。
それまでもD・カーネギーの『人を動かす』('58年/創元社)などのロングセラーはあり、要点が極めて端的に纏めてある点では本書も同じですが(共に3項目に纏めてある)、本書は「1分間」というキャッチや145ページという薄さ、内容が寓話風になっているところなどが目新しかったのではないでしょうか。
かつてあるところに青年がいて、優れたマネジャーを探していた―みたいな設定は、その後も多くの本に模倣されたようです(デイル・ドーテン著『仕事は楽しいかね?』('01年/きこ書房)などもその類)。
本書で言っているのは、部下マネジメントにおいて大切なのは、
1.目標設定
2.褒めること
3.叱ること
であり、褒めたり叱ったりするのは"人格"に対してではなく、相手の"行動"に対して行うべきだということではないかと思いますが、これが結構日本人の苦手とするところであり、逆に日本人にも受けた理由ではないかと思います。
本書を「座右の書」とする人も多いようですが、少し皮肉っぽく考えると、自分が本書に書かれていることを守れないかも知れないという不安が常にどこかにあるから、「座右の書」となりうるのではないかと思ったりもします。
ただ、そういう意味では、D・カーネギーの「人を動かす3原則」の方が、まだ「座右の銘」としてピンと来るものがあると言うか、個人的にはしっくりきました。
著者のK・プランチャード(心理学者)とS・ジョンソン(精神医学者)はその後も「1分間シリーズ」を続々と出し続け(「1分間ファザー」「1分間マザー」っていうのもありました)、『チーズはどこへ消えた?』(S・ジョンソン著/'00年/扶桑社)に至っては動物まで登場させて、物語の寓意を検討するディスカッションまで入れた手とり足とりの解説ぶりですが、アメリカ人ってだんだん子どもみたいになってきているのではと思いきや、日本でもこの「チーズ」本は結構売れました。
