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保守的で内向きなGM役員の中で、異彩を放った競争心と挑戦意欲。
ジョン・Z(ザッカリー)・デロリアン
『晴れた日にはGMが見える』新潮文庫/日本語訳単行本/原著(ハードカバー)


DMC‐12
スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮の映画「バック・トウ・ザ・フューチャー」('85年/米)(監督はロバート・ゼメキス)は、ストーリーはお決まりのパターン、予定調和でしたが、50年代の音楽・ファッションがふんだんに盛り込まれていて、SFXも楽しめるというエンタテイメントに徹した、テンポのいい娯楽作品でした。
あの映画でお馴染みのクルマと言えば「DMC‐12」(通称"デロリアン")ですが、本書はそのデロリアンを開発したジョン・デロリアン(1925-2005/享年80)の話で、彼がGM史上最年少で役員になりながらも、経営陣と対立して同社を辞すまでが描かれています(本書はライターを使ってますが、彼自身は後に、GM退職後の「DMC‐12」開発のことなども含めた自筆自伝を書いています)。
暴露本とも言え、その分、経営書と言うよりはビジネス書、ビジネス書と言うよりは小説のように面白く読めます。
私企業でも大きくなると役所と変わらぬ官僚主義が横行することがよくわかり、それに驚き、怒り、呆れるデロリアン氏に共感しますが、彼自身も自分の考えを通す上で強引過ぎる点は無かったのかという疑問も湧き、この点でアメリカでも本書に対する評価は割れるようです。
それでも、大企業の役員が保守的で内向きな視点しか持てない傾向に陥りがちなのがよくわかって興味深く、これは'70年代のGM社内の話ですが、今でも実際にGMは大企業病に喘いでいるわけです。
『アイアコッカ―わが闘魂の経営』 ['85年/ダイヤモンド社]

フォード社で社長を務めながらもオ-ナー一族と対立し、クライスラー社の社長に転じたリー・アイアコッカと比べると、アメリカの自動車メーカーのトップクラスで異彩を放つ人物が持つ競争心と挑戦意欲に富んだ気質という点では似ていますが、デロリアンはアイアコッカ以上にクルマづくりそのものにこだわった感じがします。
タッカー・トーペード

むしろこの人、フランシス・F・コッポラ 監督の映画「タッカー」('88年/米)(製作総指揮ジョージ・ルーカス)のモデルにもなったブレストン・タッカーに近いかも。
ブレストン・タッカーは軍需工場を経営していましたが、来るべき現代にふさわしい新しい新車の設計、開発を自ら計画し、1945年に「タッカー・トーペード」という自動車を生産します。
最終的には、こうした彼の動きに警戒感を抱いたGMなどの「ビッグ3」に潰されてしまうものの、独力でクルマの生産まで漕ぎつけるところが、いかにも起業家という感じで、しかも今時流行のITとかではなくクルマづくりである点を考えてもスゴイ。
但し、この「タッカー・トーペード」は50台しか生産されませんでした(映画では現存する47台が愛好家の全面協力により使われた)。一方、デロリアンの手による「DMC‐12」は約9,000台生産されています。
しかし独立後のデロリアンは、ジウジアローのような超一流デザイナーとの出会いはありましたが、本田宗一郎を補佐した藤沢武夫のような経営補佐に恵まれませんでした。
そのことは、本書を読んで窺える彼の性格からも何となく感じられ、会社も倒産し、'05年に80歳でひっそりと亡くなりました(でも、デロリアンの名は残った!)。
新宿スカラ座 (新宿スカラ1・2・3) 2007(平成19)年2月8日閉館


「バック・トゥ・ザ・フューチャー」●原題:BACK TO THE FUTURE●制作年:1985年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・ゼメキス●製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ/キャスリーン・ケネディ/フランク・マーシャル●製作:ボブ・ゲイル/ニール・カントン●脚本:ロバート・ゼメキス/ボブ・ゲイル●撮影:ディーン・カンディ●音楽:アラン・シルヴェストリ●時間:116分●出演:マイケル・J・フォックス/クリストファー・ロイド/リー・トンプソン/クリスピン・グローヴァー●日本公開:1985/12●配給:UIP●最初に観た場所:新宿スカラ座(85-12-07) (評価★★★)
「タッカー」●原題:TUCKER●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:フランシス・フォード・コッポラ●製作:フレッド・ルース/フレッド・フックス●製作総指揮:ジョージ・ルーカス●脚本 アーノルド・シュルマン/ディビッド・セイドラー●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:ジョー・ジャクソン●時間:111分●出演:ジェフ・ブリッジス/ジョアン・アレン/マーティン・ランドー/フレデリック・フォレスト/マコ岩松●日本公開:1988/10●配給:東宝東和 (評価★★★☆)
【1986年文庫化[新潮文庫]】
