【204】 ○ 宮城 音弥 『 [第2版]』 (1972/12 岩波新書) 《[初版] (1953/07 岩波新書)》 ★★★★

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フロイトは限度を越えて「了解」しているという考えは受け入れやすいものだった。

夢 宮城音弥.jpg 『夢 (1972年)』 岩波新書

alexanders dream.jpg 本書は1953年刊行の初版がベースとなっています。
 心理学の権威で多くの啓蒙書を残したこの著者の、学生時代の卒論は「睡眠」をテーマにしたもので、「夢」というのは著者の早期からの関心事だったようです。

 人はなぜ夢を見るのか、夢の心理とはどんなものか。
 そうした問題を、フロイトなどの諸理論を引きながら考察し、わかりやすく解説しています。

Alexander's Dream by Mati Klarwein (1980)

 実験的に夢を製造することはできるのか、夢の中で創作は可能なのか、夢の無い睡眠というのはあるのか、盲目の人はどんな夢を見るのか、といった多くの人が興味を抱くだろう疑問にも答えようとしています。
 個人的には、夢における時間感覚について、崖から墜落した人などがよく体験する"パノラマ視現象"などとの類似を指摘している点などが興味深かったです。


 夢には我々の了解できない面があるものの、精神分析によって心理的原因を求めていけば、結局はかなりの部分その意味を了解できるのではないか、という著者の考えはオーソドックスなものです。
 ただし、その「了解」には限度があるとも著者は言っています。

 夢はすべて「過去の願望の変装したもの」であるというフロイトは、限度を越えて「了解」しているのであって、意味の無いものにムリに意味をつけようとしているという著者のフロイト批判は、読者には受け入れられやすいものではないかと思います。

《読書MEMO》
●フロイトとユングの夢分析の違い...「ミネルヴァがジュピターの頭から生まれた」
 フロイト:「性器から出生」の社会的抑圧に対する「転移」、
 ユング:知恵が神神から由来したことを示す象徴
 (ユングは夢を「前向きな解釈」と「後ろ向きな解釈」に分類した-夢を見る者の目的を示すことを強調)(61p)

  



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