【273】 ○ デイヴィッド・シールズ 『イチローUSA語録 (2001/12 集英社新書) ★★★★

「●スポーツ」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【274】 生島 淳 『世紀の誤審―オリンピックからW杯まで』
「●集英社新書」の インデックッスへ

日本のジャーナリズムの中では見えなかったイチローの一面が見えた。

イチローUSA語録.jpg 『イチローUSA語録』 集英社新書 〔'01年〕 デイヴィッド・シールズ.jpg デイヴィッド・シールズ氏 (略歴下記)

 イチロー語録は何冊か本になっていますが、シアトル在住の米国人作家の編集による本書は、その中でも早くに出版されたもの。雑誌・新聞等に掲載された英文訳のイチローのコメントを再録していますが、渡米1年目の6月ぐらいまでのものしか載っていません。
 でも、掛け値なしで面白い!

Ichiro.jpg 編者は―、
 「イチローはグラウンドで超人的な離れ業、人間業とも思えない送球や捕球や盗塁やヒットなどを演じ、あとでそれについて質問されると、彼の答えときたら、驚くほかはない。
 そのプレーを問題にもしないか、否定するか、異を唱えるか、前提から否定してかかるか、あるいは他人の手柄にしてしまう」
 と驚き、
 「日本語から英語に訳される過程で、言葉が詩的な美しさを獲得したのだろうか?」
 と考察していますが、日本語に還元したものを我々が読むと、もっと自然な印象を受けます(彼のプロ意識の控えめな表現だったり、ちょっとマスコミに対して皮肉を言ってみたとか、或いはただインタビューを早く終らせたいだけだったとか)。
 それでも面白いのです。

 個人的に一番気に入ったのは、シアトルの地元紙に日本の野球に心残りがあるかと聞かれ、
 「日本の野球に心残りはありません。野球以外では、飼っている犬に会えないのが寂しいけど、グランドでは何もないです」
 と答えた後、その飼い犬の名前を聞かれて、
 「彼の許可を得てからでないと教えられません」
 と言ったというスポーツ・イラストレイテッドの記事。
 何だか、味わい深い。
 スポ・イラも丹念だけれども、編者もよくこういうのを拾ってきたなあと言う感じ。
 例えば、日本でまとめられた"類書"などは、「精神と目標」「準備と訓練」「不安と逆風」...といった構成になっていて、こうなると上記のようなコメントは入る余地がなくなります。
 日本のジャーナリズムの中では見えてこなかったイチローの一面が見えました。
_________________________________________________
デイヴィッド・シールズ
1956年ロサンゼルス生まれ。ブラウン大学卒(英文学専攻)。作家、エッセイスト。ワシントン大学教授(クリエイティヴ・ライティング・プログラム担当)。著作に「ヒーローズ」「リモート」「デッド・ランゲージズ」など。ニューヨーク・タイムズ・マガジン、ヴォーグなどにも寄稿。1999年刊の「ブラック・プラネット」は全米批評家協会賞最終候補となる。シアトルに妻、娘とともに住む。



ブログランキング・にほんブログ村へ banner_04.gif e_03.gif


About this Entry

This page contains a single entry by wada published on 2006年8月25日 01:08.

【272】 ○ 島 秀之助 『プロ野球審判の眼』 (1986/09 岩波新書) ★★★★ was the previous entry in this blog.

【274】 △ 生島 淳 『世紀の誤審―オリンピックからW杯まで』 (2004/07 光文社新書) ★★☆ is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 5.01