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時を経ても現代に通じるものが多く、それは驚きに近い。
『母親のための人生論 (岩波新書 C (140))』 〔'64年〕
『私は赤ちゃん』 〔'60年〕
『定本育児の百科』
ロングセラー『育児の百科』(岩波書店)の著者として知られる松田道雄(1908‐1998)は、小児科医でしたがアカデミズムの世界では在野の人でした。
本書は、同じく岩波新書の『私は赤ちゃん』('60年)、『私は二歳』('61年)がベストセラーになった後、1964年に出版されたものですが、一部に時代を感じるものの、子育てをする母親に対する示唆という点では、時を経ても現代に通じるものが多く、それは驚きと言ってもいいぐらいです。
まさに、松田道雄が現代に語りかけているように思えるのです。
内容は、子育て・教育・家庭問題から文化・芸術論、人生観・死生観まで多彩です。
個人的には、お稽古ごとについて親バカを大切な楽天主義だと肯定し、保育園と家庭の役割ついて集団教育と家庭教育は別のものとし、虚栄心からと見える行為は向上心の表れであることも多いことを指摘し、アイバンク登録した中学生に率直に敬意を示す、といった著者の姿勢にたいへん共感しました。
章の合間に入る京都に関するエッセイも楽しい。
男性が読んでも得るところが大いにある本だと思いますし、家族社会学などに関心がある人には特にお薦めです。
《読書MEMO》
●おけいこごと...親ばかは大切な楽天主義(42p)
●理想論の立場...住環境の夢と現実、向上心(88p)
●保母さんとお母さん...集団教育は家庭教育とは別なもの(103p)
●京都のお菓子...宮廷との結びつきが強い(114p)
●京都の食べ物...金さえ持っていれば誰でも楽しめることを、自分の特技のように吹聴するのは悪趣味(154p)
●女らしいということ...根気のいる仕事は女性が得意(220p)
●細君の虚栄心...向上心の表れであることも多い(236p)
●中学生のアイバンク登録...死後も明るいという錯覚にとらわれていない(252p)
