【374】 △ 澤口 俊之 『「私」は脳のどこにいるのか (1997/10 ちくまプリマーブックス) ★★★

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自己意識=自我、自我=「私」というのは拡大解釈ではないか。

「私」は脳のどこにいるのか.jpg 『「私」は脳のどこにいるのか (ちくまプリマーブックス)』  〔'97年〕

 前段の心脳二元論に対する反駁は納得できます。
 本題では、心のシステムにはモデュール性があり、それが脳のどこかの部位と対応していると。
 "自我モデュール"には「自己制御」と「自己意識」という側面があり、前頭連合野がそれを担っているのではないかと。
 何故ならば、認知心理学的には、「自己制御」と「自己意識」は、それぞれワーキング・メモリの中枢実行系と情報バッファとして捉えられ、前頭連合野の中心的な働きがワーキング・メモリであるからと。

 ワーキング・メモリを意識の座とする考え方を唱える人は他にもいるかと思いますが、著者は「自己意識」をワーキング・メモリが情報を操作・統合した結果生じるものとし、そのメカニズムを推論しています。
 このあたりは正直よくわかりませんでした。
 著者の「自己意識とはワーキング・メモリの特殊な状態の一つである」という結論が今ひとつピンとこないのは、一般感覚として「自己意識ってワーキング・メモリの一状態に過ぎないの?」という印象を受けるからです。
 タイトルに著者なりの答えを出している姿勢は買えますが、自己意識=自我、自我=「私」というのは拡大解釈ではないかという気がします。

 『平然と車内で化粧する脳』('00年/扶桑社)でブレイクし、その後、IQでもEQでもないHQ(=人間性知性、超知性)なる概念を提唱していた著者ですが、勤めていた北大を職員へのセクハラで辞めたりもしています。

《読書MEMO》
●「二元論」(脳と心は別)と「一元論」(脳の活動が心)の対立(48p)
●脳の各部位の機能にも階層があり、前頭連合野にこそ
 ◆「自我」(自己意識・自己抑制)の鍵である
  ワーキング・メモリ(中枢実行系[理解・推論・計画...etc.]・音韻グループ・視空間グループ)センター
  がある(134-138p)
 ◆分裂病は、前頭連合野に対するドーパミンの働きの障害が関与する(143p)
  かつては精神分裂病の治療としてロボトミーが行われた

  



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