【522】 ◎ 山岸 凉子 『日出処の天子 (全8巻)』 (1986/03 角川書店・あすかコミックス・スペシャル) ★★★★☆

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歴史小説ファンで、少女漫画(家)を軽く見ている人に是非読んでもらいたい作品。

日出処の天子 第1巻.jpg 日出処の天子7.jpg 『日出処の天子 全7巻 (漫画文庫)

 '80(昭和55)年から'84(昭和59)年まで雑誌「LaLa」連載、'86年に全集に収められ、'94年に文庫化された著者の最大のベストセラーで、'83(昭和58)年度・第7回「講談社漫画賞」受賞作。

 聖徳太子=厩戸王子(うまやどのおうじ)は超能力者で、しょっちゅう体外離脱し、離れたところにいる者の心を操ったり、旱魃の時に高気圧を動かして!雨を降らせたりした―。
 また彼には強烈なマザーコンプレックスがあって女性を愛することができず、蘇我馬子(そがのうまこ)の息子・蘇我毛人(そがのえみし)を同性愛的に愛していたが、毛人が布都姫(ふつひめ)という女性を愛したためにその愛は報われず、厩戸王子は虚無感から狂女を妻に娶る―というスゴイ設定の話。

 漫画史に残ると言われる厩戸王子の漂白されたような透明感のある線描も含め、よくぞ聖徳太子をここまで妖麗な中性的存在(見た目むしろ女性に近い)に描いて"山岸流"に料理したなあという感じです。

 しかし一方、政治ドラマとしてのストーリー展開の方は、政権に絡む複雑な家系の人々を緻密に網羅し、彼らが入り乱れての男社会の権力抗争、権謀術数を史実にほぼ忠実に描いいて、そんじょそこらの歴史時代小説を圧倒する重厚さです。
 この辺りが、厩戸王子のかなりキワドイ人物像の設定にもかかわらず、この漫画が男性も含め多くの愛読者を得ている所以でしょう。
 ホントこの作者は、歴史大河小説を書ける力量が充分にあるのではと思わせます。

 厩戸王子のキャラ設定で好悪は分かれるかもしれませんし、池田理代子氏などは、この作品に対する反発から『聖徳太子』(全7巻)を手掛けたとされていますが(まだそちらは読んでいない)、歴史小説ファンで、少女漫画(家)を軽く見ている人に是非読んでもらいたい作品です。

 【1994年文庫化[白泉社文庫(全7巻)]/2003年ムック版白泉社(全7巻)]】

        



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This page contains a single entry by wada published on 2006年9月10日 14:39.

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