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個人的には、「真相」「他人の家」「18番ホール」の順で良かった。
『真相』 (2003/05 双葉社)
『真相 (双葉文庫)』 ['06年]
「真相」、「18番ホール」、「不眠」、「花輪の海」、「他人の家」の5編を収録していますが、「警察モノ」というイメージが強い著者としては、登場人物が税理士から前科者までバラエティに富んでいて、その部分では幅を感じました。
一方で、過去に傷を持つ主人公たちのキャラクター設定が似ていて、そう言えばリレー方式で主人公が代わる『半落ち』('02年・講談社)の登場人物も、皆何となくキャラクターが似ていたなあと。
その古傷が、ある日突然、或いはじわ〜っと裂けてくるという展開までも、それれぞれの話が似ていますが、この点は、敢えてそういうプロットで統一した連載だったのかもしれません。
個人的には、「真相」「他人の家」「18番ホール」の順で良かったです。
「真相」は、息子を殺した犯人が10年ぶりに捕まって新事実が浮かび上がる話で、主人公のやるせない気持ちがよく描けていると思いました。
「他人の家」は、前科のある男の、大家にそのことが知れることから始まる苦悩を描いたもので、めぐり巡って犯罪同士がカチ合うようなプロットが面白かったです。
「18番ホール」も「他人の家」同様、現実に起こりうる可能性よりも、筋立ての妙でしょうか。
著者は、松本清張賞を受賞してデビューした作家ですが、清張の短篇にもこうした趣向のものがあったような気がします。
この2編は、新聞やマスコミの「言論の暴力」や「情報の垂れ流し」問題にも触れていて、元新聞記者の著者ならでの視点を感じます。
村長選挙に立候補することになった男の話「18番ホール」は、男が猜疑心の渦にハマっていく様がうまく描かれていたけれど、ラストはやや寓話的過ぎる印象も。
【2006年文庫化[双葉社文庫]】
