「●マネジメント」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【711】 柳井 正 『一勝九敗』
「経営エキスパートはかくして育つ」というのがよくわかり、面白かった。
『カルロス・ゴーン経営を語る』 日本経済新聞社['03年]
日経ビジネス人文庫

カルロス・ゴーンがルノーから日産に出向し同社のCOOに就任したのが'99年、その後2年で同社の業績を回復し、'01年には社長兼CEOに就任していますが、更には'05年からルノーのシュヴァイツァー会長の後を継いで親会社の会長兼CEOにもなっているところを見ると、やはりルノー・グループの中でも彼は傑出した人材だったということでしょうか。
本書は、AFP通信社の東京支局長だったフィリップ・リエスがゴーンにインタビューしたものに更にゴーン自身が加筆したもので(原題は、"Citoyen du monde"(地球市民))、前半はレバノン系ブラジル移民の子として育ちフランスで教育を受けた青年時代からミシュラン、ルノーにおけるキャリア、後半は、日産における「リバイバル・プラン」の遂行を中心に述べられていますが、特に前半部分が、「経営エキスパートはかくして育つ」という感じで面白かったです。
学生時代は語学と数学の才能が際立ち、結局、工学と数学を専攻しましたが、関心は地理や歴史、言葉と文化の関係にあったという彼は、「人と文化」というものに重きを置く人物であることが本書を読むとよくわかり、ルノーに転進したのもトップの人格に魅かれたためであり、また、日産に来てからも、日産の企業文化を尊重するよう努めています。
関係会社との関係も含めた徹底した現場主義は、ミシュランというサプライヤーの出身であることとも関係していると思いますが、従業員を味方につけることに成功した要因の1つになっていると思われ、昨今、こうした現場主義を最初から放棄して、単なる資本上の提携のみを先行したために、社内に様々な齟齬を生んでいるケースを見るにつけ、考えさせられるものがあります。
自身のことを戦闘的な人間ではないと言っていますが、アグレッシブな印象の強いジャック・ウェルチなどに比べると、確かに日本人に合った経営者かも。
日産自体はまだ過去の債務を引き摺っている面もあると思われますが、ゴーンはルノー本体の舵取りもしなければならない立場にあり、日産にとっては、ゴーンに続く経営人材をどうするのかというのも大きな課題では。
【2005年文庫化[日経ビジネス人文庫]】
