【826】 ○ 文藝春秋 『大アンケートによる日本映画ベスト150 (1989/06 文春文庫ビジュアル版) ★★★☆ (○ 文藝春秋 『洋・邦名画ベスト150 〈中・上級篇〉 (1992/11 文春文庫ビジュアル版) ★★★☆)

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シリーズ中では充実した内容。回答者のコメントが楽しい。中上級編の注目は「十三人の刺客」。

大アンケートによる日本映画ベスト150.jpg 『大アンケートによる日本映画ベスト150 (文春文庫―ビジュアル版)洋・邦名画.jpg 『洋・邦名画ベスト150〈中・上級篇〉』 (表紙イラスト:共に安西水丸)

 同じ「文春文庫ビジュアル版」の『大アンケートによる洋画ベスト150』('88年)の続編で、この映画シリーズはこの後、
大アンケートによる女優ベスト150.jpg ◆『大アンケートによるわが青春のアイドル女優ベスト150』( 〔'90年〕
 ◆『洋画・邦画ラブシーンベスト150』 〔'90年〕
 ◆『大アンケートによるミステリー・サスペンス洋画ベスト150』 〔'91年〕
 ◆『ビデオが大好き!365夜―映画カレンダー』 〔'91年〕
 ◆『洋・邦名画ベスト150 中・上級篇』 〔'92年〕
 ◆『大アンケートによる男優ベスト150』 〔'93年〕
 ◆『戦後生まれが選ぶ洋画ベスト100』( 〔'95年〕
映画イヤーブック1994.jpg と続いています。
 このうちの殆どを買って、'90年代に毎年刊行された現代教養文庫(版元の社会思想社は倒産)の『映画イヤーブック』と共に愛読・活用させてもらいました。
 角川文庫にも『日本映画ベスト200』('90年)などのアンケート・シリーズがありますが、「ビジュアル版」と謳っている文春文庫のシリーズの方が、掲載されているスチール、ポートレート、ポスターの量と質で、角川文庫のものを上回っています。

七人の侍 パンフ.jpg7samurai.jpg 本書『邦画ベスト150』には、赤瀬川順・長部日出雄・藤子不二雄A氏らの座談会や、映画通が選んだジャンル別のマイベスト、井上ひさしの「たったひとりでベスト100選出に挑戦する!」といった興味深い企画もありますが、メインの「ベスト150」は、1位が「七人の侍」で、以下「東京物語」「生きる」「羅生門」「浮雲」と続く"まともな"ラインアップとなっています。

「七人の侍」('54年/東宝)

 「七人の侍」の「1位」には、個人的にもほぼ異論を挟む余地が無いという気がします。
 先にジョン・スタージェス監督の「荒野の七人」('60年/米)を観てオリジナルであるこの作品も早く観たいと思っていたですが、観るのなら絶対に劇場でと思い、リヴァイバル上映を待ちに待って、結局'90年代になってやっと観ました。 
「七人の侍」.jpg 渋谷のロードショーシアターへ休日の朝一番で観にいったら、観客多数のため上映館が急遽変更されていて(同じような考えの人が大勢いたということか)、渋谷の街中を走った思い出がありますが、「荒野の七人」もいい映画ですはあるものの、やはりオリジナルは遥かにそれを凌ぐレベルの作品だった―、アクション映画としても傑作ですが、脚本面でも思想性という面でも優れた作品だと思いました。

「七人の侍」●制作年:1963年●監督:黒澤明●製作:木莊二郎 ●脚本:黒澤明/橋本忍/小国英雄●撮影:中井朝一●音楽:早坂文雄 ●時間:207分●出演:者 志村喬/加東大介/宮口精二/藤原釜足/千秋実/木村功/稲葉義男/三船敏郎●公開:1954/04●配給:東宝 ●最初に観た場所:渋谷東宝(渋東シネタワー4)(91-12-01)(評価:★★★★★

 『洋画ベスト150』もそうですが、映画通と言われる特定の映画にこだわりを持った人々からアンケートをとっても、それらを全部を集計してしまうと、一般の映画ファンのアンケート結果とそう変わらないものになるということ、「人目にふれにくい傑作」にテーマを絞った『洋・邦名画ベスト150 中・上級篇』が企画されたのは「むべなるかな」という感じがします。

十三人の刺客.jpg 『中・上級篇』の方では、「日本映画ベスト44」の1位が工藤栄一(1929‐2000)監督の「十三人の刺客」、「外国映画ベスト109」の1位は「マダムと泥棒」となっていて、「七人の侍」が(前述の通り、個人的にも大傑作だと思うが)これほど賞賛されるならば「十三人の刺客」はもっと注目されるべきであるし、ヒッチコック(個人的は好きな監督だが)の作品に人気が集まるならば、「マダムと泥棒」も見て!という感じは確かにします。

 「十三人の刺客」は、将軍の弟である明石藩主というのが実は異常性格気味の暴君で、事情を知らない将軍が彼を老中に抜擢する話が持ち上がったために、筆頭老中が暴君排除を決意し、暗殺の密命を旗本島田新左衛門に下すというもの。

「十三人の刺客」 ('63年/東映)
十三人の刺客dvd.jpg 片岡千恵蔵演ずる島田新左衛門が集めた刺客は12人で、参勤交代の道中の藩主を襲うが、対する明石藩士は53名。この、2勢力の武士が、何か2匹の生き物のように画面狭しと動き回って、時代劇というよりまさにアクション映画。そうした点では「七人の侍」と見比べると、また違った味があります(そっか、脚本の池上金男って池宮彰一郎のことだったのか。音楽は「ゴジラ」の伊福部昭!)。

 本書にもあるように、アクション映画は、シチュエーションを単純にしてディテールに凝ったほうが面白いと言うその典型で、ラストの30分にわたるリアルな決戦シーンとそこに至るまでの作戦の積み重ねは、「早すぎた傑作」と呼ばれるにふさわしく、公開当時はあまり評価されなかったとのこと。大体、時代物に疎く、かなり後になってビデオで観たのですが、劇場でみたら星5つだったかも(オールド・プリントで、ちょっと画面が暗い。DVDの方はどうなのだろうか)。

「十三人の刺客」●制作年:1963年●監督:工藤栄一●製作:東映京都撮影所●脚本:池上金男●撮影:鈴木重平●音楽:伊福部昭●時間:125分●出演:片岡千恵蔵/里見浩太朗/嵐寛寿郎/阿部九州男/加賀邦男/汐路章/春日俊二 /片岡栄二郎/和崎俊哉/西村晃/内田良平/山城新伍/丹波哲郎●公開:1963/12●配給:東映 (評価:★★★★)

         



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This page contains a single entry by wada published on 2007年12月26日 23:09.

【825】 ○ 毎日新聞社 『昭和外国映画史―「月世界探検」から「スター・ウォーズ」まで』 (1978/06 毎日新聞社「1億人の昭和史」) ★★★★ was the previous entry in this blog.

【827】 ○ コリン・ウィルソン 『殺人百科』 (1963/06 彌生書房) ★★★★ is the next entry in this blog.

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