【864】 ○ 成瀬 悟策 『催眠面接法 (1968/03 誠信書房) ★★★★ (○ 藤本 正雄 『催眠術入門 (1959/09 カッパ・ブックス) ★★★★/○ 平井 富雄 『自己催眠術 (1967/10 カッパ・ブックス) ★★★★)

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催眠の技法を面接話法として具体的に記述。暗示の力の凄さを実感したこともあったが...。

催眠面接法.jpg 『催眠面接法 POD版』 ['07年] 成瀬悟策(なるせ ごさく).jpg 成瀬 悟策(なるせ・ごさく) 九州大学名誉教授
催眠面接法』 ['68年]

催眠術入門.jpg自己催眠術 劣等感からの解放・6つの方法.jpg 昭和30年代に催眠術ブームがあり、例えば日産生命名誉会長の藤本正雄氏 (1908-1993、執筆時は同社常務)の書いた『催眠術入門』('59年/カッパブックス)などがベストセラーになりましたが、この本は催眠の効用や技法をわかりやすく示した良心的な内容であったものの、その他の「術」とつく本には少し妖しげなものも少なくなかったようです(自己催眠に関するものでは東京大学の平井富雄教授(1927-1993、執筆時は東大講師)の『自己催眠術』('67年/カッパブックス)は良かった―書かれていることは要するに自律訓練法のことなのだが)。

催眠術入門―あなたも心理操縦ができる』 『自己催眠術―劣等感からの解放・6つの方法 (カッパ・ブックス)

「 暗示と催眠の世界」.jpg 比較的入手しやすい本で信頼できる学者が書いたものとしては、木村駿氏の『暗示と催眠の世界』('69年/講談社現代新書)がありましたが、「暗示」の部分で社会心理学的なテーマまで扱っているため、催眠の技法部分については、一応は書かれているものの、それほど詳しくない―そこで、催眠の技法についてきっちり書かれている本は?ということで探して、本書をはじめとする成瀬悟策氏の著書に行き着きました。

 とりわけ本書 『催眠面接法』は、催眠の技法が面接話法的に、実際に用いる話し言葉で幾通りも示されているので実践的です。
 本書を参照し、以前に何人かの被験者に催眠を試みる機会がありましたが、概ねうまくいき、中には、"後催眠暗示"までいって、手を叩けば窓を開けるとか、窓を開けると飲み物が欲しくなるとか、催眠中にこちらで指示した通りに行動する人もいました(何だか、こちらが優位に立った気になるのが危うい)。

 ここまでになると本人の催眠感受性による部分が大きいわけで、被験者の集中力の高さのお陰と考えるべきかも。その被験者は、殆ど受験勉強らしいことをせず一流大学に現役合格した人だったそうです。

 「催眠術」として遊び気分でやったこともあり、後輩に掌に置いた硬貨が熱くなるという暗示をかけたら、冷たいはずの硬貨でヤケドしたといったこともあって、自分より年下が相手だったということで、そうした上下関係が暗示効果を増幅した面もあったかと思われますが、それにしても暗示の力の凄さを思い知りました(但し、その人は再度被験者になってくれることは無かった)。

 この本は技法について詳しく書かれていますが、それだけでなく、臨床場面において技法が実際にいかなる分野でどのように用いられるかが論述されていて、"後催眠暗示"は充分に覚醒させて終了することが大事であるとのこと。
 また、フロイトの催眠療法のような権威的効果の利用に否定的であり、当然のことながら、自分が硬貨を使ってやったようなことは、被験者にとって百害あって一利もない邪道であることがわかります―大いに反省。

        



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This page contains a single entry by wada published on 2008年2月16日 23:06.

【863】 △ 岡田 正彦 『人はなぜ太るのか―肥満を科学する』 (2006/12 岩波新書) ★★★ was the previous entry in this blog.

【865】 ◎ 会田 雄次 『アーロン収容所―西欧ヒューマニズムの限界』 (1962/11 中公新書) ★★★★☆ is the next entry in this blog.

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