【946】 ○ 島田 卓 『インドビジネス―驚異の潜在力』 (2006/08 祥伝社新書) ★★★☆

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さらっと読める現代「インド入門」。多民族・多宗教・多言語国家であることを再認識。

インドビジネス.jpg 『インドビジネス―驚異の潜在力 (祥伝社新書 (050))』 島田 卓 (インド・ビジネス・センター代表取締役社長).jpg 島田 卓(たかし) 氏

india it.jpg 本書によれば、11億の人口を抱えるインドは、その平均年齢がたいへん若く、毎年1200万人の新たな労働人口が生じているとのこと(高齢化の進む日本とは違いすぎ!)、しかも、彼らの多くが英語を能くし、数学に強く、IT(情報技術)力が高い―。

 60年代から始まった米国へのインド人の頭脳流出が、80年代からの米シリコンバレーのIT革命の原動力になったことは知られていますが、その頭脳がインドに還流し、今、インドITの発展に貢献しているそうで、教育熱も盛んで、インド工科大学は、「IIT(インド工科大学)に落ちたらMIT(マサチューセッツ工科大学)へ行け」と言われるぐらい難関だそうです(中国にも、清華大学という理科系分野の殆ど全てにおいて国内最高のレベルを占める特異な大学があるが、国内需要と教育熱が難易度を高めるという点で似ていると思った)。                                  Photo from CT India

 本書は、インドでのビジネスを経験した著者(現在、インド・ビジネス・センター代表取締役社長)が、インドビジネス・コンサルタントの立場から、インドの政治・経済・産業の現況やインド人のビジネスの考え方を示したもので、このタイトルで〈日経文庫〉などから刊行されていれば、経済主体の解説で終わってしまっていたかも知れませんが、一般向け新書として刊行された本書では、歴史・民族・文化から社会・宗教・慣習等まで、幅広い話題をとり上げ、インドというものを多角的に捉える助けになるとともに、読み物としても読みやすいものになっています。

 とりわけ、前半部分のインド人のビジネス場面で見られる国民的特徴を紹介した部分が面白く、インド人が日本人と接するときは、最初は低姿勢で従順だが、実は彼らは大変プライドが高く、また論議好きで(インドでは「沈黙は金」ではなく「死」であるとのこと)理屈っぽいというのが元々のところであるようで、第一印象で甘く見ると後で痛い目に逢う?

 多少、著者個人の体験から来る主観もあるでしょうが、本書は後半に行けば行くほどデータブック的になってくるだけに、この前半部分の、やや放言的?なトーンは、読者を引きつけ、読後にインド及びインド人についての何らかイメージを読者に持ってもらう意図としては悪くないと思い、日本はインドのソフトパワー(人材)への投資(企業でのインターン受け入れなど)をすべきだなどの提言が盛り込まれているのもいいです。

 本書を読んで、インドという大国の今後の台頭を予感させられましたが、この国が多民族・多宗教・多言語国家であることも再認識させられたことの1つで、言語で言えば、地方言語を含めると300近くあるとのこと、国会議員が議場では同時通訳のヘッドフォンをしていて、紙幣には17の言語で金額が表記されているというのにはビックリしました。

アイシュワリヤ・ラーイ.jpg インドは映画大国でもありますが、サタジット・レイの「大地のうた」3部作みたいな教養映画は少数で、殆どがミュジカール映画とのこと。日本でもヒットした「踊るマハラジャ」なんかまだストーリーが凝っている方で、2時間ぶっ続けで踊っているシーンばかりのもあるけれど、本書でも紹介されているミス・ワールドになったアイシュワリヤ・ラーイというのは、いつまでもキレイ(LUX Super Rich のCMに出ていた)。出演している映画はともかく、インドの自信とプライドを体現しているような女優だと思った次第(思わず、大きな写真をアップ...)。

 Aishwarya Rai
 
 

アイシュワリヤー・ラーイ(Aishwarya Rai).jpg

    



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This page contains a single entry by wada published on 2008年7月14日 21:39.

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