【1022】 ○ パトリシア・コーンウェル (相原真理子:訳) 『検屍官 (1992/01 講談社文庫) ★★★★

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ケイとマリーノのやりとりがいい。テレビドラマに「BONES」のようなフォロアーを生んだ。

検屍官.jpg 『検屍官 (講談社文庫)』 〔'92年〕 BONES.jpg "BONES"

Postmortem.jpg 1990年に発表されたパトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」の第1作(原題"Postmortem")で、主人公である40歳の女性検屍官ケイ・スカーペッタが、バージニア州リッチモンドで起きた女性連続殺人事件の犯人に迫るというストーリー(但し、シリーズの途中で、ケイの年齢は30代に改変されている)。

 文庫で500ページを一気に読ませる力量は、その後のシリーズの人気を予感させ、ミステリとしての面白さよりは、主人公の魅力で引っぱられる感じがしますが、それだけで次作へ次作へと読み進みました。

 捜査に積極的に加わり捜査方針を左右する発言権を持つ検屍長官というのは超エリート、つまり彼女はスーパー・キャリアウーマンといったところでしょうが、彼女の一人称で語られる文章は、その冷静で知的な分析力だけでなく、人間的な感情の起伏をよく表していて、組織内での女性キャリアゆえのストレスや不安から幼い頃から抱えるコンプレックスまですべて吐露されていて、かえって親近感を覚えます。

 個人的には、部長刑事ピート・マリーノとの皮肉やユーモアに富んだやりとりが好きで、マリーノは時にセクハラともとれる言動があるが、実のところケイを大いに助けていて、イタリア系同士ということもあり、やはりこの2人、実は気が合っているということか。

 リッチモンドは当時、アメリカ随一の犯罪都市だったそうですが、地元新聞の警察担当記者として犯罪レポートを書いた著者の経歴が、物語のリアリティを高めていて、さらにこのデビュー作には、検屍局でコンピュータ・プログラマーとして勤務したという著者の経歴がよく生かされていると思いました。

 一方、事件が複雑なわりにはオチがあっさりしている傾向が、この作品も含めこのシリーズにあり、15年間で14作刊行されたのは、よく続いた方と見るべきかもしれません。

「Law & Order:性犯罪特捜班」   「BONES」
LAW & ORDER: 性犯罪特捜班.jpgBones (FOX).jpg テレビドラマなどに明らかにこのシリーズの影響を受けていると思われるフォロアーを多く生み、「Law & Order:性犯罪特捜班」(旧バージョンからスピンアウトして女性が主役になった)や「BONES」(こちらも有能な女性法人類学者が主人公で、殺人捜査班の男性捜査官と組ん仕事をする)、更には「女検死医ジョーダン」なんてパクリが出てきてしまっている今、このシリーズはもう復活はない?と思っていたら、'07年に15作目『異邦人(上・下)』('07年/講談社文庫)が出ました(手元にあるけれど、未読。第11作の『審問』以降、全部上下巻と長いんだよなあ)。

Law & Order:性犯罪特捜班 dvd.jpgLaw & Order:Special Victims Unit.jpg「Law & Order:性犯罪特捜班」Law & Order: Special Victims Unit (NBC 1999/09~ )○日本での放映チャネル:FOX CRIME

BONES3.jpg「BONES」Bones (FOX 2005/09~ ) ○日本での放映チャネル:FOX (2006~ )

                    



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和田泰明

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