【1030】 ○ エルモア・レナード (山崎 淳:訳) 『五万二千ドルの罠 (1979/12 ハヤカワ・ノヴェルズ) ★★★★ (△ ジョン・フランケンハイマー 「デス・ポイント/非情の罠」 (86年/米) (1987/12 日本ヘラルド映画) ★★★)

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パルプマガジン作家らしい作品。"レナード・タッチ"より、むしろストーリー自体が楽しめる。

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五万二千ドルの罠 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』/「デス・ポイント/非情の罠(52 PICK-UP)」輸入版DVDカバー/『五万二千ドルの罠 (1979年) (ハヤカワ・ノヴェルズ) 』/映画「キャット・チェイサー」チラシ/「スティック」ペーパーバック

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 1974年に発表されたアメリカの人気ハードボイルド作家、エルモア・レナード Elmore Leonard(1925‐) のベストセラー作品で原題は"52 Pickup"

 鉄鋼会社経営の中年実業家の主人公は、浮気現場をビデオに撮られて犯人グループから恐喝され、妻も真実を知って困惑するが、犯人を見つけるため夫に協力する。浮気相手の友人から得た情報で、犯人はポルノ映画館支配人の男ら3人とわかり、主人公は犯人らに年間5万2000ドル払うと申し出て、彼らの仲間割れを図る―。

 エルモア・レナードは、先に『キャット・チェイサー(Cat Chaser 1982)』('86年/サンケイ文庫)や『スティック(Stick 1983)』('86年/文春文庫)を読んで、ストーリーよりも、所謂"レナード・タッチ"と言われるハードボイルドな文体やフロリダなどを舞台にしたスタイリッシュな雰囲気に惹かれました(とりわけ『スティック』の高見浩氏の訳は鮮烈。この人、ヘミングウェイなども翻訳している)。

 それらに比べると、本書は文体もさることながら、むしろストーリー展開自体が楽しめ、読んだ後も印象に残る―、と言っても、エルモア・レナード自身が西部劇の脚本家からスタートして、パルプマガジンで支持を得てきた人なので、話は大いに通俗的であり、また、その展開にはかなりハチャメチャな部分はありますが...(主人公は戦争で戦闘機パイロットだった時に、敵機を撃墜しただけでなく、誤襲してきた味方機まで撃墜したというかなり血の気の多い人物という設定)。
 映画「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」の監督クエンティン・タランティーノが敬愛する作家であるというのはよくわかります。

 「5万2千ドル」ぐらいでこんな殺し合いになるのかという気もしますが、70年代初頭は1ドル=360円だったわけで、しかも主人公が提示したのは、それを「毎年」支払うということだったことを考えると、そう不自然な設定ではないかも(どこから5万2千ドルという数字が出てくるのかと思ったら、1週千ドルというわけだ)。

デス・ポイント 歌舞伎町シネマ2.jpg レナード作品は幾つか映画化されていますが、『スティック』はバート・レイノルズ主演で'85年に映画化されているものの、原作を捻じ曲げて却って拙い仕上がりになっているとの評だったので未見、ピーター・ウェラー、ケリー・マクギリス主演の「キャット・チェイサー」('86年)も映画館では観る機会がなかったのですが、テレビで途中から観て、まあまあこんなものかなと。

52 PICK-UP m.jpg 『五万二千ドルの罠』は、映画化された作品('86年、邦題 「デス・ポイント/非情の罠」)を、B級映画専門の準ロード館(歌舞伎町シネマ2)で観て、かなり原作に忠実に作られているように思いました。

 '08年に亡くなったロイ・シャイダーの主演で、主人公の粗暴な面と脅迫に脅える面が両方出ていて、ロイ・シャイダーは、「ブルーサンダー」('83年)でベトナム帰りの攻撃ヘリコプターのやたら砲弾を撃ちまくるパイロットを演じていましたが、この作品では、「ジョーズ」('75年)の警察署長役に繋がる(サメならぬ)脅迫者に脅えた感じの演技がハマっているような気がし、但しその分、原作よりもやや線の細い人物造型になったように思います。


ヒューマックスパビリオン 新宿歌舞伎町.jpg「デス・ポイント/非情の罠」●原題:52 PICK-UP●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・フランケンハイマー●音楽:ゲイリー・チャン●原作:エルモア・レナード「五万二千ドルの罠」●時間:112分●出演:ロイ・シャイダー/アン・マーグレット/C・ウィリアムズ3世●日本公開:1987/12●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:歌舞伎町シネマ2 (88-01-30) (評価★★★)●併映:「第27囚人戦車部隊」(ゴードン・ヘスラー)

歌舞伎町シネマ1・歌舞伎町シネマ2 1985年、コマ劇場左(グランドオヲデオンビル隣り)「新宿ジョイパックビル」(現「ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町」)2Fにオープン→新宿ジョイシネマ3・新宿ジョイシネマ4。1997(平成9)年頃閉館。

 【1979年ノヴェルズ化〔ハヤカワ・ノヴェルズ]/1986年文庫化〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕】

                



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和田泰明

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