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邦題より原題が相応しいシビアな内容。ジェーン・フォンダの演技には鬼気迫るものがある。
「ひとりぼっちの青春 [DVD]
ホレス・マッコイ 「彼らは廃馬を撃つ」 ['70年/角川文庫]/['88年/王国社]
1932年、不況下にハリウッドで行われた「マラソン・ダンス」の会場には、賞金を狙って多くの男女が集まっていた。ロバート(マイケル・サラザン)もその1人で、彼は、大会のプロモーター兼司会者(ギグ・ヤング)の手配により、グロリア(ジェーン・フォンダ)と組んで踊ることになるのだが―。
不況時のアメリカの世相と、一攫千金を願ってコンテストに参加し、ぼろぼろになっていく男女を通して、世相の退廃と人生の孤独や狂気を描いた作品で、 甘ちょろい感じのする邦題タイトルですが、原題は"They Shoot Horses, Don't They?"(「廃馬は撃つべし」とでも訳すところか)というシビアなもの(オープニングで馬が撃たれるイメージ映像が流れる)。
余興で行われた二人三脚競走で足がつって踊れなくなったロバートを、今までの苦労が水の泡になるとして無理やり引きずって踊ろうとするグロリアを演じたジェーン・フォンダの演技には、鬼気迫るものがありました。
グロリアは、もはや賞金のためではなく、自らの尊厳のために踊り続けようとする。しかし、このダンス・コンテスト自体がある種のヤラセ興行であることに気づいたとき、彼女はロバートに自殺幇助を頼み果てる―。
"They Shoot Horses Don't They?"は、ロバートが子供の頃、父親から言い聞かされていた言葉だったというのが、強烈な皮肉として効いています。
雑誌モデル出身のジェーン・フォンダは、この映画に出るまではセクシーさが売りの女優で、ピンク・コメディのようなものによく出演しており、この映画の前の出演作は「バーバレラ」(Barbarella)というSFコミックの実写版でしたが(凄いね、この作品のオープニング)、この「ひとりぼっちの青春」出演を機に演技開眼したと本人も後に言っている通り、その後2度もアカデミー主演女優賞を獲得しています。
しかも、「黄昏」("On Golden Pond")の映画化権を買取り、父ヘンリー・フォンダに初のアカデミー主演男優賞をもたらす契機を作ってさえいます。
一方、映画でアクの強いプロモーターを演じたギグ・ヤングは、この映画の8年後に、妻を射殺して自らも命を絶っています。
この作品は、今年('08年)5月に亡くなったシドニー・ポラック(1934‐2008/享年73)監督作で、この人の代表作には、「追憶」や「愛と哀しみの果て」などの大物俳優の組み合わせ作品や「トッツィー」('82年、アカデミー助演女優賞)などがあります。

「追憶」('73年)は、やはりあくまでもバーブラ・ストライサンドの映画という感じで、バーブラ・ストライサンドが政治活動に熱心な苦学生を、ロバート・レッドフォードがノンポリの学生を演じていますが、2人の20年後の再会から自分たちの歩んできた道を振り返る構成になっていて、よって「追憶(THE WAY WE WER)」というタイトルになるわけです。
何事にもひたむきにしか生きられない、不器用だが一途な女性をストライサンドが好演、人間ってそう簡単には変われないのかもと...。
テーマソングもストライザンドが歌っているわけで、これだけの歌唱力と演技力を兼ね備えているというのは考えてみれば凄い才能。コーヒーのCMソングが流れる度に思い出す映画ですが、この映画のお陰で暫くはロバート・レッドフォード自体にノンポリのイメージを抱いてしまった。
「追憶」テーマ
そのロバート・レッドフォードがメリル・ストリープと共演したのが「愛と哀しみの果て」('85年)ですが、アカデミー監督賞を獲ったにしては中身はハーレクイン・ロマンスではないかと...(メリル・ストリープってコンプレックスを持った女性を演じるのが上手い。でも、映画自体は全く自分の好みに合わなかった)。
「トッツィー」('82年)は、女装のダスティン・ホフマンがアカデミー主演男優賞(女優賞?)を獲るかと言われた映画ですが、むしろ共演のジェシカ・ラングの方が進境著しく、個人的には、ソープオペラって収録が間に合わなくなると"生撮り"するというのが興味深かった...(日本でも昔のNHKの「お笑い三人組」や民放の「てなもんや三度笠」などは公開録画だったようだが)。
こうして見ると、男優よりもむしろ女優の方の魅力を引き出しているものが並び、「ひとりぼっちの青春」もその類ということになるのかも知れませんが、「ひとりぼっちの青春」に関しては、これらの作品の前に忘れてはならない作品だと個人的には思っています。
「ひとりぼっちの青春」米国版 ポスター&ビデオカバー


「ひとりぼっちの青春」●原題:THEY SHOOT HOURSES,DON'T THEY?●制作年:1969年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●音楽:ジョン・グリーン●原作:ホレース・マッコイ 「彼らは廃馬を撃つ」●時間:133分●出演:ジェーン・フォンダ/マイケル・サラザン/スザンナ・ヨーク/ギグ・ヤング●日本公開:1970/12●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:三鷹東映(78-01-17) (評価★★★★☆)●併映:「草原の輝き」(エリア・カザン)/「ジョンとメリー」(ピーター・イェイツ)
三鷹東映 (1978年半ばに「三鷹オスカー」に改称) 1990(平成2)年12月30日閉館
「追憶」
「愛と哀しみの果て」
「トッツィー」
「追憶」●原題:THE WAY WE WER●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●音楽:マービン・ハムリッシュ●原作:アーサー・ローレンツ●時間:118分●出演:バーブラ・ストライサンド/ロバート・レッドフォード/ブラッドフォード・ディルマン/ロイス・チャイルズ/パトリック・オニール●日本公開:1974/04●配給:コロムビア映画●最初に観た場所:渋谷文化(77-10-23) (評価★★★☆)●併映:「明日に向かって撃て!」(ジョージ・ロイ・ヒル)
「愛と哀しみの果て」●原題:OUT OF AFRICA●制作年:1985年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●音楽:ジョン・バリー●原作:アイザック・ディネーセン 「アフリカの日々」●時間:161分●出演:メリル・ストリープ/ロバート・レッドフォード/クラウス・マリア・ブランダウアー●日本公開:1986/03●配給:ユニヴァーサル映画●最初に観た場所:テアトル池袋(86-10-12) (評価★★)●併映:「恋におちて」(ウール・グロスバード)
「トッツィー」●原題:TOOTSIE●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●音楽:デイブ・グルーシン●時間:113分●出演:ダスティン・ホフマン/ジェシカ・ラング/ビル・マーレイ/テリー・ガー/ダブニー・コールマン/チャールズ・ダーニング●日本公開:1983/04●配給:コロムビア映画●最初に観た場所:自由が丘武蔵野推理 (85-07-14) (評価★★★)●併映:「プレイス・イン・ザ・ハート」(ロバート・ベントン)
映画パンフレット 
1935年のアメリカ南部テキサスを舞台に、夫である保安官を酔っ払いの黒人によって誤って撃ち殺された妻が、貧困にもめげずに必死になって家族を守ろうとする姿を追った人間愛ドラマで、個人的にも感動しました。
テレビシリーズ「ER緊急救命室」にアビーの母親役でゲスト出演していたのを久しぶりに見て、やはり上手いなあと思ったらエミー賞ゲスト出演賞受賞で、更には「ブラザーズ&シスターズ」で同賞ドラマ・シリーズ部門の主演女優賞を獲っています(この番組、完全に娘役の「アリーmyラブ」のキャリスタ・フロックハートとの演技合戦の様相を呈しており、ロブ・ロウなど他の役者の影が薄い)。



『ヤマザキ、天皇を撃て!』 ['72年]
この映画は渋谷のユーロスペースで公開され、場所柄もあってかなりの若い層が観たようで(同館の興業記録を作った)、映画のヒットで一時カリスマ文化人的存在にもなったりしたのを覚えていますが、'05年に87歳で没しています。
今村昌平 (1926- 2006/享年79)
結婚式の直前に突然失踪した婚約者を探す早川佳江という女性。露口茂がレポーターとなり、カメラと共に捜索を続ける彼女を追うが、やがて婚約者の二重生活が明らかになる。社会における人と人の繋がりの脆さに自分自身をも見失って呆然とする女性―。
松本清張の『ゼロの焦点』('58年発表)の"ドキメンタリー版"みたいな装いですが、この作品の狙いは"人と人の繋がりの脆さ"を描くと言うよりもむしろ、ドキメンタリーと言われるもの自体の脆さ、ドキメンタリー成立の不可能性を示すことにあったと思います。
途中から佳江さんの実の姉が婚約者と密会していたなどという証言も出てくきて、幼い頃から姉を憎んでいた佳江さんはカッとなり、婚約者の捜索をめぐる家族会議に証言者を交え、こぞって姉を糾弾し始める―(弩号は飛び交うは、佳江さんは泣き出すは、まさに修羅場の様相)。
そのようにして家族会議の場で大いに激昂し口角泡飛ばしていた関係者たちですが、今村昌平監督のいきなりの「はい、カット」の一言で全員一斉に黙り、何処からともなく現れたスタッフらが"セット"の障子や襖を片付け始める―(観客はここで初めて、家族会議が行われていたのは茶の間ではなく映画の撮影スタジオであったことに気づく)。
スタッフが大道具、小道具を片付ける間、彼らは大人しく座っています。そして、カメラが回り始めると、再び口角泡飛ばし、猛然と話し出します。

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ハイテク企業に勤めるトム・サンダース(マイケル・ダグラス)は、自分に内定していた副社長ポストに、本社から赴任した元恋人メレディス(デミ・ムーア)が就任したことを知らされ唖然とする。そして彼女に呼び出されて誘惑され、誘いに負けそうになるも、かろうじて踏み止まり部屋を出るが、今度は彼女にレイプをされそうになったと訴えられる―。
今月('08年11月)亡くなったマイケル・クライトン(Michael Crichton、1942‐2008/享年66)の原作で、この人のデビュー作が『アンドロメダ病原体』('69年)であり、『ジュラシック・パーク』('90年)などのバイオ・サスペンスやTVドラマ『ER』のようなメディカル系に強かった印象があるけれども(ハーバード・メディカルスクールの出身でもある)、『大列車強盗』('75年)などのミステリもあれば、『ライジング・サン』('92年)のようなビジネスドラマ(ビジネス・サスペンス)もあり、何でもござれといった多才さというか、守備範囲の広さを感じさせ、まだバリバリの現役であっただけに、66歳でのガン死は、壮絶な戦死といった印象も受けます。
セクハラ事件を契機に主人公は、野望渦巻く企業のパワーゲームに巻き込まれていきますが、映画におけるマイケル・ダグラスは、「ウォール街」('87年)で若僧チャ-リー・シーンを翻弄するやり手の投資銀行家ゲッコー氏のイメージよりも、「危険な情事」('87年)で不倫相手のグレン・クローズに翻弄される弁護士のイメージに近いかも。
映画としては凡作になってしまったと思うけれども(マイケル・クライトンへの追悼と、「ライジング・サン」よりはまだ映画らしい映画になっているということで本作品を取り上げた)、上司デミ・ムーアの自らの誘いを断った主人公に対する仕打ちの1つに、会社のサーバーへのアクセス権を奪ってしまうというのがあって、そのことで主人公は仕事が完全にストップしてしまいパニックに陥るというのが、当時すっごく"今風"の恐怖だなあと思い、印象的に残りました(今の時代だと、その影響が実感できる分、"今風"と言うより"強烈"な仕打ちということになるか)。

RAIN MAN (1988)
それでもこの映画が評価されるところがアメリカらしいと思うし、北山修氏自身も、そうした専門家からの指摘をねじ伏せてしまう「作品の力」は認めています。

Louis Malle (1932‐1995/享年63)
1944年、ビシー政権下のフランス片田舎の病院で雑役夫として働く17歳の少年ルシアンは、反ナチスの動きを牽制する「ドイツ警察」と呼ばれるゲシュタポの手先集団に成り行きで入ってしまい、レジスタンスの地下運動に携わる人々の逮捕や財産没収に参加するなど仲間と共に非道を尽くすが、あるきっかけでユダヤ人の娘フランスと知り合って恋に落ち、彼女に危機が訪れたときに、その祖母とともにスペインへの逃避行を図る―。
そうしたルシアンも、ユダヤ人娘への恋を通して人間性を回復し、彼女を救うためにナチスに背を向けるまでに成長しますが、映画の最後には、野外で娘との無邪気とも動物的とも思えるようなセックスをし、陽光のもと満足そうに寝そべる彼の笑顔に被って、「1944年10月12日ルシアンはレジスタンス側の裁判で銃殺刑に処せられた」という字幕が出ます(ちょっとルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」のラストを想起させる)。
「ルシアンの青春」●原題:LACOMBE LUCIEN●制作年:1973年●制作国:フランス・イタリア・西ドイツ●監督・脚本: ルイ・マル●撮影:トニーノ・デリ・コリ●音楽:ジャンゴ・ラインハルト●時間:130分●出演:ピエール・ブレーズ/オロール・クレマン/ボルガー・ローヴェンアドラー●日本公開:1975/05●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:八重洲スター座(79-02-01) (評価★★★★★)●併映:「愛の嵐」(リリアーナ・カヴァーニ)


1枚の500フラン札を偽札と知らずに使ったイヴォンは、逮捕され執行猶予付きの有罪となる。出所後、強盗の手伝いをして逮捕・投獄され、家族とも別れ、自殺をも考える。しかし彼は脱獄し、出所後に世話になった一家とも事件を引き起こす―。


元大使の娘(レア・マッセリ)の誘いで、冷えかけた関係にある建築家の恋人(ガブリエル・フェレゼッティ)と、元大使の娘の友人(モニカ・ヴィッティ)の3人は、夏の数日間をシチリアのエオリア諸島に過ごすことになるが、ヨットで小さな無人島に立ち寄った際にアンナが忽然と姿を消す。捜索隊も出て、残された2人も懸命に行方を捜すが、そのうち疚しさを覚えながらも2人は情事に耽るようになり、やがて元大使の娘の件も口に出さなくなる―。
いいなあ、アントニオーニのモノクロ映画! 晩年は寡作で、日本でも一旦は忘れかけたみたいな感じだったのが、90年代に静かなリバイバル・ブームが起こり、この作品も'94年にリバイバルされています。そして、今また人気が出ているみたい。
コトがなし崩し的に進行したある時から、モニカ・ヴィッティは不安感に見舞われるようになり、建築家の男も、俺たちは一体何をやっているんだと愕然とする―。
「情事」パンフレット(ニュー東宝版)


この映画でのジム(ジェームズ・ディーン)とプレイトウ(サル・ミネオ)の関係はよく同性愛だと言われていますが、17歳という設定ですから、思春期的なものであると思われ、それでも当初はジムがプレイトウにキスしようとするシーンもあったそうですが、米国内の検閲でカットされたとのこと。
'75年に「ジェームズ・ディーンのすべて-青春よ永遠に」(James Dean:The First American Teenager)という記録映画が作られていて、その中でナタリー・ウッドもサル・ミネオもディーンの思い出を語っていますが、その翌年にサル・ミネオは強盗に刺殺され(享年38、ピーター・フォークと知己で、「刑事コロンボ」の「 ハッサン・サラーの反逆」('75年)に出ていた)、更にその5年後の'81年には、ナタリー・ウッドが撮影中にボートの転覆事故で亡くなっています(享年43、死因には、事故説の外に他殺説、自殺説もある)。
この記録映画の中では、ジェームズ・ディーンがマーロン・ブランドの演技を意識していたことが窺えたのが興味深かったです(演技ばかりでなく、自分はパーティ嫌いでバーティを避けていたのに、パーティに出ていたマーロン・ブランドがどういった様子だったかを人に聞くなど、普段の立ち振る舞いにも強い関心を示していた)。
「ジェームズ・ディーンのすべて 青春よ永遠に」●原題:JAMES DEAN:THE FIRST AMERICAN TEENAGER●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:レイ・コノリー●製作:デイヴィッド・パトナム/サンディ・リーバーマン●時間:80分●出演:ジェームズ・ディーン/ナタリー・ウッド/サル・ミネオ/デニス・ホッパー/サミー・デイビスJr.●日本公開:1977/09●配給:東宝東和●最初に観た場所:テアトル新宿(78-01-13) (評価★★★)●併映:「サスペリア」(ダリオ・アルジェント)●記録映画

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エドナ・ファーバー 『ジャイアンツ(上・下)』 ['56年/早川書房]
「ジャイアンツ」('56年)はエドナ・ファーバー女史のベストセラー小説の映画化作品ですが、完成3日後にジェームズ・ディーンが事故死するという不幸もあって話題を呼び、当時アメリカでも日本でも大ヒットしたとのこと。
ある家族の前に突然現れた流れ者という設定は、同じジョージ・スティーブンス監督の前作「シェーン」('53年)と似ています。
ジョージ・スティーブンス監督には幼い頃に母親喪失の不安感があったそうですが、自身の不安の克服が「父親は母親を守ることができる強い男でなければならない」というアメリカ的な信条に沿った内容に結実したということなのでしょうか。
一方のシェーンの敵役を演じたジャック・パランス(1991-2006)は、その後も性格俳優としても活躍し、どちらかと言うと相変わらず悪役が多いのですが、パーシー・アドロン監督の「バグダッド・カフェ」('87年/西独)で"老い楽の恋"に静かな情念を燃やす老画家役を好演し(当時77歳)、個人的には、あの映画の中では、ジェヴェッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」と並んで最も印象に残りました(「あのジャック・パランスが」という想いで観たということもあるが)。
「12人の優しい日本人」豊川悦司 
「十二人の怒れる男」は、ナイフで実父を殺害した容疑がかかる少年の裁判における12人の陪審員の討議において、唯一人、少年の犯行だという意見に疑問を感じた陪審員(ヘンリー・フォンダ)が、残り11人の有罪説の根拠の脆弱を順番に暴いていくものです。
「12人の優しい日本人」は、12人の陪審員のうち11人までが被告を無罪だと考えていたところ...という状況から始まり、その後の展開も含め明らかに「十二人の怒れる男」のパロディなのですが、三谷幸喜の脚本もいいし、役者も全員が一定の水準以上にあって下手な人がおらず、自然に笑えます。
「十二人の怒れる男」●原題:12 ANGRE MEN●制作年:1957年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ルメット●製作:レジナルド・ローズ/ヘンリー・フォンダ●脚本:レジナルド・ローズ●撮影:ボリス・カウフマン●音楽:ケニヨン・ホプキンス●原作:レジナルド・ローズ(TVドラマ)●時間:96分●出演:ヘンリー・フォンダ/リー・J・コッブ/エド・ベグリー/ E・G・マーシャル/ジャック・ウォーデン/マーティン・バルサム/ジョン・フィードラー/ジャック・クラグマン/エドワード・ビンズ●日本公開:1959/08●配給:ユナイテッド・アーティスツ (評価★★★★)
Theo Angelopoulos
テオ・アンゲロプロス監督には、「ギリシャ現代史3部作」、「国境3三部作」、「20世紀3部作」(第1作「エレニの旅」('04年)のみ公開済み)などのシリーズがあり、70年代に発表された「旅芸人の記録」は「ギリシャ現代史3部作」の1つ。





NHKスペシャル「脳梗塞(こうそく)からの"再生"〜免疫学者・多田富雄の闘い〜」より(2005.12.4)
'05年12月にNHKスペシャルとして放映された「脳梗塞(こうそく)からの"再生"〜免疫学者・多田富雄の闘い〜」を見たときの、キーボードを打つと音声を発する機械で会話する著者の様に強く印象づけられましたが、既にこの時点でガン告知も受けており、まさか著者の書いたものがこうした1冊の単行本になって新たに上梓され、それを読むことができるとは思いませんでした。
確かに、脳梗塞で倒れ不自由な生活を送っている人は多くいるかと思いますが、介助する人に恵まれていたとは言え、これだけのハンデキャップを負いながら、これだけ冷静に力強くその闘病を伝えたケースというのも稀ではないでしょうか。


言わずと知れたヘミングウェイの代表作、且つ、生前に発表された最後の作品。
「ハードボイルド・リアリズム」と呼ぶに相応しい福田訳(経年疲労しない名訳だと思う)から、センチメンタリズムを排した男性原理、ギリシャ悲劇的なヒロイズムが浮き彫りにされているように思え(或いは、"ハリウッド映画"に受け継がれるようなヒロイズム。実際、このサンチャゴ老人のストイシズムはカッコいい)、ヘミングウェイは母グレイスに女の子のように育てられたとのこと、幼少の頃の女装させられた写真は有名で(後のハンティングなどに興じる数ある"逞しい"写真と対比すると興味深い)、彼のマッチョ願望をそうした幼児体験の反動であると見る心理学者もいます。.jpg)
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45歳の裁判官が不治の病に罹り、肉体的にも精神的にも耐え難い苦痛を味わいながら着実に「死」に向かっていく、その3カ月間の心理的葛藤を、今まで世俗的な価値に固執し一定の栄達を得た自らの人生に対する、それがいかに無意味なものであったという価値観の転倒からくる混乱と絶望、周囲から哀れみの眼差しを浴びながらも、あたかも自分の死が「予定調和」乃至は「ちょっとした不意の出来事」のように受け取られていることへの苛立ち、そして死の直前の苦悶と周囲への思いやりにも似た「回心」に至るまでを、まさに描き難いものを描き切ったとでも言うべきレフ・ニコライビッチ・トルストイ(1828‐1910/享年82)の中篇小説です。
1886年3月、文豪57歳の時に完成した作品ですが、1881年に実在のある裁判官の死に接して想を得たもので、主人公の葬儀とその世俗的な生涯の振り返りから始まるこの作品は、黒澤明監督の「生きる」と、導入部分や主人公が役人である点が似ており、黒澤はこの作品から「生きる」を着想したとされています。
「生きる」●制作年:1952年●製作:本木莊二郎 ●監督:黒澤明●脚本:黒澤明/橋本忍/小国英雄●撮影:中井朝一●音楽:早坂文雄●原作:レフ・トルストイ「イワン・イリッチの死」●時間:143分●出演:志村喬/小田切みき/金子信雄/関京子/浦辺粂子/菅井きん/丹阿弥谷津子/田中春男/千秋実/左ト全/藤原釜足/中村伸郎/渡辺篤/木村功/伊藤雄之助●日本公開:1952/10●配給:東宝●最初に観た場所:大井武蔵野館 (85-02-24) (評価★★★★)●併映「隠し砦の三悪人」(黒澤明)


表題作は、1926(大正15)年1月にプロレタリア文芸誌「文芸戦線」に発表されたもので、「DS文学全集」('07年/任天堂)にも収められていますが、まさかこの作品が、この表題での文庫で読めるとは思いませんでした。![異邦人[上].gif](/mt/archives/異邦人[上].gif)
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コロラド山中にある「オーバールックホテル」は冬の間閉鎖されるリゾートホテルで、作家志望のジャックはその妻と息子と共にホテル住み込みの冬季管理人としてやってきたが、そのホテルでは過去に、管理人が家族を惨殺するという事件が起こっていた―。

最後に、生垣を走り回って...というのも映画のオリジナルで、独創性は感じられるものの原作を曲げていることには違いなく、これでは原作者のキングが怒るのも無理からぬこと。


映画['08年公開]
「県庁の星」('06年/東宝)の西谷弘監督によって映画化されましたが、探偵役の物理学者・湯川(福山雅治)の相方が、同窓の草薙刑事ではなく、柴咲コウ演じる部下の女性刑事になっていて、「県庁の星」で監督と相性が良かったのかなと思ったら、テレビドラマ「ガリレオ」からこのパターンになっていたようです(テレビ版を見ていないので知らなかった)。
「容疑者Xの献身」●制作年:2008年●監督:西谷弘●製作:亀山千広●脚本:福田靖●撮影:山本英夫●音楽:福山雅治/菅野祐悟●原作:東野圭吾「容疑者Xの献身」●時間:1289分●出演:福山雅治/柴咲コウ/堤真一/松雪泰子/北村一輝/ダンカン/長塚圭史/金澤美穂/益岡徹/林泰文/渡辺いっけい●公開:2008/10●配給:東宝(評価:★★★)


Archer back with Van Gogh (本書より)
