「●あ行外国映画の監督」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1423】M・アントニオーニ 「欲望」
「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(三鷹文化劇場)
静かな情感を湛えつつ、ストレートにわかり易く"原罪"を描く。
「情事 [DVD]」
"L'Avventura" Movie
元大使の娘(レア・マッセリ)の誘いで、冷えかけた関係にある建築家の恋人(ガブリエル・フェレゼッティ)と、元大使の娘の友人(モニカ・ヴィッティ)の3人は、夏の数日間をシチリアのエオリア諸島に過ごすことになるが、ヨットで小さな無人島に立ち寄った際にアンナが忽然と姿を消す。捜索隊も出て、残された2人も懸命に行方を捜すが、そのうち疚しさを覚えながらも2人は情事に耽るようになり、やがて元大使の娘の件も口に出さなくなる―。
いいなあ、アントニオーニのモノクロ映画! 晩年は寡作で、日本でも一旦は忘れかけたみたいな感じだったのが、90年代に静かなリバイバル・ブームが起こり、この作品も'94年にリバイバルされています。そして、今また人気が出ているみたい。
Michelangelo Antonioni (1912‐2007/享年94)
"愛の不毛"を描き続けた監督と言われていますが、フェリーニの「8 1/2」やトリュフォーの「アメリカの夜」と同じく映画監督を主人公にした「ある女の存在証明」('82年)などは、同じ"愛の不毛"を描いたものでも「抽象画」という感じで、自分としてはやや期待外れで、やはり、「欲望」('66年)以前、とりわけ「さすらい」('57年)とこの両モノクロ作品が、静かな情感を湛え、ストレートにわかり易くていいです。
Monica Vitti in L'Eclisse
何がわかり易いかと言えば、先ずもってモニカ・ヴィッティのアンニュイな魅力がわかり易い(アラン・ドロンと共演した「太陽はひとりぼっち」(L'Eclisse、'62年)も、テレビでしか観ていないが良かった)。
これに抗しきれない男の気持ちが理解できるだけに、身につまされる思い?
「太陽はひとりぼっち」のアラン・ドロンはイケメン証券マンという役柄でしたが、ガブリエル・フェレゼッティ演じるこの男は、創造力の面で才能に恵まれず、今は「構造計算」の仕事を専門にしているという建築家という設定で、レア・マッセリ演じる元大使の娘から見放されかけているというのが辛そう。
コトがなし崩し的に進行したある時から、モニカ・ヴィッティは不安感に見舞われるようになり、建築家の男も、俺たちは一体何をやっているんだと愕然とする―。
男女の関係で捉えれば、筋立て自体はどこでもありそうな極めて俗な話で、にもかかわらずラストが重いのは、キリスト教のイメージが映画の伏線にあるためかも知れず、原罪とは逃れられないものなのかという想いに暫し浸されました。
失踪者した元大使の娘のことを離れ、2人の成り行きに引き込まれて観ましたが、失踪者した娘がどうなったのかというミステリだと思って観てはいけない作品です(そう思って観たがために、この作品を貶す人がいる)。
「情事」●原題:L' AVVENTURA●制作年:1960年●制作国:イタリア●監督・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ●音楽:ジョヴァンニ・フスコ●時間:129分●出演:ガブリエル・フェルゼッティ/モニカ・ヴィッティ/レア・マッセリ/ドミニク・ブランシャル●日本公開:1962/01●配給:イタリフィルム●最初に観た場所:三鷹文化(82-11-06) (評価★★★★★)●併映:「フランス軍中尉の女」(カレル・ライス)
三鷹文化劇場 (三鷹駅南口中央通り) 1980年代半ばに閉館
「情事」パンフレット(ニュー東宝版)
