【1048】 ○ バリー・レヴィンソン 「レインマン」 (88年/米) (1989/02 ユナイテッド・アーティスツ) ★★★★

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「作品力」の源はダスティン・ホフマンとトム・クルーズの挑戦意欲。

『レインマン』(1988).jpg 映画パンフレット『レインマン』.jpg レインマン.jpgRAIN MAN (1988).jpg みんなの精神科2.jpg
RAIN MAN (1988)/「レインマン」パンフレット/「レインマン [DVD]」 きたやまおさむ『みんなの精神科―心とからだのカウンセリング38 (講談社プラスアルファ文庫)』  

アカデミー賞 レインマン.jpg この作品は、ロードショー公開時の平日夜に新宿グランドヲデオン座で観ましたが、ロード中にアカデミー賞受賞が決まり、劇場は超満員でした(1988年の作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞)。その前に、ゴールデングローブ賞の作品賞も受賞してはいましたが...(第39回ベルリン国際映画祭「金熊賞」(グランプリ)も受賞)。

RAIN MAN film.jpg 精神科医の北山修氏(=元ザ・フォーク・クルセダーズの「きたやまおさむ」氏)は、その著書『みんなの精神科―心とからだのカウンセリング38』('97年/講談社)の中で「『レインマン』の中の自閉症という病気から出てくる面白いエピソードは、ひょっとしたら現実には20人の自閉症患者と20年付き合ってやっと経験できるかもしれない話であって、それが1週間で1人の自閉症の人に起こってしまうところは完全にフィクションである」と書いていますが、それは多分正しい指摘であるのだろうと思います。それでもこの映画が評価されるところがアメリカらしいと思うし、北山修氏自身も、そうした専門家からの指摘をねじ伏せてしまう「作品の力」は認めています。

RAIN MAN (1988)es.jpg その力の源は、「自閉症者は火星人のようなものだから理解できるとは思わない方がいい」と著名な学者に言われ(『レナードの朝』『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』のオリヴァー サックスじゃないかなあ)、かえって発奮したというダスティン・ホフマンと、LD(学習障害)であるためbとd、pとqの区別がつかないなどの識字困難により教科書が読めず幼い頃から苦労したトム・クルーズの、両俳優の挑戦意欲だと思います。

RAIN MAN (1988)s.jpg アメリカのTVドラマなどには、自閉症やアスペルガー症候群の登場人物が結構出てきますが、わざとらしい説明的な描写は少ないようです。アメリカ社会での自閉症に対する認知度・理解度を高める上で、この映画の果たした役割は大きかったのではないかと思いますが、日本でのヒットが国内でのそうしたムーブメントに繋がったかというと、どうでしょうか。

RAIN MAN (1988)ges.jpg 「君が教えてくれたこと」('00年/TBS系列)とか「光とともに...〜自閉症を抱えて〜」('04年/日本テレビ)といったテレビドラマがあり、それぞれは良質な作品なのですが、全体のムーブメントで捉えた場合、結果として単発的な"感動狙い"で終わっている感じもしなくもないのですが。

「レインマン」●原題:RAIN MAN●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:バリー・レヴィンソン●撮影:ジョン・シール●音楽:ハンス・ジマー●原作・脚本:バリー・モロー●時間:133分●出演:ダスティン・ホフマン/トム・クルーズ/バレリア・ゴリノ/ジェリー・モルデン/ジャック・ マードック/マイケル・D・ロ新宿グランドオデヲン.jpg新宿グランドオデヲン座.jpg新宿グランドヲデオン座(内観).jpgバーツ/ボニー・ハント●日本公開:1989/02●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:新宿グランドヲデオン座(89-04-15) (評価★★★★)
新宿グランドオデヲン座 (1975年12月「第一東亜会館」新装に伴い1Fにオープン)2009(平成21)年11月30日閉館

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