【1061】 △ トッド・ブラウニング 「フリークス 神の子ら (怪物団)」 (32年/米) (1932/11 MGM) ★★★ (○ デヴィッド・リンチ 「エレファント・マン」 (80年/英) (1981/05 東宝東和) ★★★☆)

「●は行の外国映画の監督①」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1273】 R・ブレッソン「少女ムシェット
「●や‐わ行の外国映画の監督①」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ  
「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(アートシアター新宿)

途中までヒューマニズム溢れるものだったが、ラストが解せない「フリークス」。

フリークス dvd.jpg フリークス.jpg 「フリークス [DVD]フリークス ポスター.jpg ポスター

フリークス 輸入版.jpg サーカス小屋の小人のハンスは、空中ブランコ乗りのクレオパトラに夢中だが、彼女は気のある振りをして彼を弄んでいるだけで、ところがある日ハンスが莫大な遺産を相続したことがわかると、今度は、強欲な彼女は怪力男ヘラクレスと謀ってハンスを騙して結婚し、彼を殺して財産を奪おうと毒を盛る。しかし、ハンスの仲間達がそれを見破り、ハンスは仲間達と共に2人への復讐に立ち上がる―。

フリークス2.jpg フリーク(畸形)のオンパレードで、シャム双生児、ガリガリの「生きる屍」男、髭女、半陰陽(ふたなり)、鳥のような顔をした男、小頭症の姉妹、下半身のない男、手足がない男...etc.と次から次へと出てきて、この作品はアートシアター新宿(ジュク)の定番プログラムだったのですが、近所の花園神社の大酉祭の見世物小屋の(ここで"牛女"と"蛇女"なるものを見たことがあるが)レベルどころではない。
 ロードにはかからない作品だと思っていましたが、'05年に渋谷シネマライズ(ライズX)で単館ながら上映されました(30年ぶりのロード上映とのこと)。

 ヨーロッパ映画だと、フェデリコ・フェリーニ「サテリコン」('69年/伊)フォルカー・シュレンドルフ「ブリキの太鼓」('79年/西独・仏)といった映画においても畸形や小人が出てくるけれども、アメリカ映画では、こうした人たちをスクリーンに登場させなくなって久しいようです。

 最初は不気味さもありますが、そうした見世物小屋でしか生きる術の無いような人たちを、この映画の監督は非常に温かい眼差しで描いているように思え、ヒューマニズム溢れるものであり、最後にハンスが仲間たちと復讐に立ち上がる場面では、観ていて「よし、行け」という気持ちになるまで感情移入させられていました。

「エレファント・マン」 パンフ/ポスター
エレファント・マン3.jpgエレファント・マン ポスター.jpgエレファント・マン2.jpg デヴィッド・リンチ「エレファント・マン」('80年/英)を観た時も、最後は大いに感動しました。
 しかし、「エレファント・マン」は見方によっては、ヒューマニズムを装いながらもその裏側で、人々の怖いもの見たさの俗物心理を暴いてみせているような感じもあり、何となくスッキリしない...。
 「お化け屋敷」に行く時のような"期待感"で映画館に行った人も少なからずいたように思え、デヴィッド・リンチはその部分での観客の期待にも応えようとしていたような気がします(実際、十分に応えていた)。
 その点では、この映画でのトッド・ブラウニングの畸形に対する温かい眼差しは、むしろ対照的かも。

 この作品の監督であるトッド・ブラウニング(1880‐1962)は、映画の世界に入る前はサーカス小屋の呼び込みをしていたそうですが、この作品では徹底して畸形を擁護しています。
 そして、畸形たちが結束して立ち上がった結果、ヘラクレスが畸形たちに殺されるばかりでなく、クレオパトラに至っては、不具にされて「ガチョウ女」として見世物小屋に売られてしまうというエンディングをもってきています。

 ここまでやるかという感じもしなくもないですが、クリス・ウェイラスの「ザ・フライ2/二世誕生」('89年/米・英・カナダ)で、ハエ男の遺伝子を引く主人公を「実験標本」として育てていた研究所長が、主人公の復讐に遭い、最後に主人公がハエ男から人間の姿に戻るのと引き換えに所長は醜い生き物に姿を変えられてしまうという結末が、この作品のエンディングとちょっと似ているなあと思いました。

 但し、人を外見で判断してはいけないというのがトッド・ブラウニングの言いたかったことだったとしたら、勧善懲悪のカタルシスのみを狙ったようなこのエンディングは、本来の彼の考えに沿ったものとは思われず、いささか解せません(MGMのプロデューサー側からの圧力で、こうした結末にせざるを得なかったという話もある)。
 深読みすれば、「ガチョウ女」になったクレオパトラを見て、自分でなくて良かったと思わなかったかを観客に問うているともとれるのですが...。

ピンクフラミンゴ/フリークス.png「フリ-クス 神の子ら (怪物団)」●原題:FREAKS●制作年:1932年●制作国:アメリカ●監督・製作:トッド・ブラウニング●製作:MGMスタジオ●脚本:ウィリス・ゴールドベック/レオン・ゴードン/エドガー・アラン・ウルフ/アル・ボーアズバーグ●撮影:メリット・B・ゲルスタッド●原作:トッド・ロビンズ●時間:100分●出演:ハリー・アールズ/オルガ・バクラーナ/ハーリー・アールズ/ヘンリー・ヴィクター●日本公開:1932/11●最初に観た場所:アートシアター新宿 (84-08-01) (評価★★★)●併映:「ピンク・フラミンゴ」(ジョン・ウォーターズ)
アートシアター新宿 (新宿厚生年金会館付近。1980年より黙壺子フィルム・アーカイブの活動拠点) 1980年代後半に活動停止

「エレファント・マン」●原題:THE ELEPHANT MAN●制作年:1980年●制作国:イギリス●監督: デヴィッド・リンチ●製作:ジョナサン・サンガー●脚色:クリストファー・デヴォア/エリック・バーグレン/デヴィッド・リンチ●撮影:フレディ・フランシス●音楽:ジョン・モリス●時間:124分●出演:ジョン・ハート/アンソニー・ホプキンス/ジョン・ギールグッド/アン・バンクロフト●日本公開:1981/05●配給:東宝東和●最初に観た場所:不明 (82-10-04)(評価:★★★☆)

     



ブログランキング・にほんブログ村へ banner_04.gif e_03.gif



和田泰明

About this Entry

Categories

Pages

Powered by Movable Type 5.01