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"熟年女優"ぶりが印象的だったリザ・ガストーニとヴィルナ・リージ。
「スキャンダル [DVD]」
「スキャンダル」ポスター
「スキャンドール」ポスター
Lisa Gastoni & Franco Nero in Lo Scandalo
「スキャンダル」●原題:LO SCANDALO(SCANDAL/SUBMISSION)●制作年:1976年●制作国:イタリア●監督:サルヴァトーレ・サンペリ●製作:シルヴィオ・クレメンテッリ●脚本:オッタヴィオ・ジェンマ/サルヴァトーレ・サンペリ●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:リズ・オルトラーニ●時間:107分●出演:リザ・ガストーニ/フランコ・ネロ/レイモン・ペルグラン/クラウディオ・マルサーニ●日本公開:1977/06●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:三鷹東映(78-02-04)(評価:★★★★)●併映「ラストタンゴ・イン・パリ」(ベルナルド・ベルトリッチ)/「O嬢の物語」(ジュスト・ジャキャン)

「スキャンダル」('76年/伊)は(イタリア映画なのだが)第2次大戦下の南フランス・プロヴァンスが舞台で、大学教授の妻(リザ・ガストーニ)が、自らが営む薬局で働く雑役夫(フランコ・ネロ)に、女店員と間違えられて抱きつかれたことを契機に、彼と性交渉を持つようになり、上流階級への怨念を抱く雑役夫のもと、彼の肉体の奴隷となっていくというもの。雑役夫は、女店主の娘(クラウディオ・マルサーニ、「家族の肖像」に出ていた)にも手を出すが、大学教授の妻はむしろそれに嫉妬する有様で、雑役夫の命令でどんな辱めも受けるという完全な主従逆転状態に―。
リザ・ガストーニ Lisa Gastoni

サルヴァトーレ・サンペリの演出とヴィットリオ・ストラーロのカメラは「青い体験」('73年/伊)と同じコンビで、主演のリザ・ガストーニ(Lisa Gastoni 、1935年生まれ)が美しく高貴な人妻が堕ちていく様を身体を張って演じており、マカロニ・ウェスタンの俳優というイメージがあったフランコ・ネロもネクラかつサディステックな雑役夫をしっかり演じていて、"イタリアン・エロス"とか言われるけども、ある種、家族の崩壊を描いた文芸作品と言えるかも知れません(充分にエロチックでもあるが)。
女店主リザ・ガストーニは最後には絶望の淵に追い込まれるわけですが、雑役夫フランコ・ネロとの関係がスキャンダルになろうとも性愛の道を突き進むその姿は、一時のこととは言え自らの解放を果たしたというふうにもとれるかと思います。
サルヴァトーレ・サンペリは"ネオ・レジスタ"グループの代表格ともされており、この作品には上流階級の脆弱・崩壊というものがバックテーマとしてあるようで、妻のすべての告白を聞いてもただ涙を流すしかない大学教授の夫(そのくせ、自分のコレクションを妻が誤って壊すと怒る)には、"知識人階級"への批判も込められているように思えました。
C.Goldsmith 「スキャンドール(LA CICALA)」


"イタリアン・エロス"系では、少し似たようなタイトルで「スキャンドール」('80年/伊)というものもあり、行きずりの少女チカラ(クリオ・ゴールドスミス)と共に旅していた歌手(ヴィルナ・リージ)が、旅先で知り合ったレストラン経営者と結婚しガソリンスタンドを切り盛りするようになり、そこに呼び寄せた娘(バーバラ・デ・ロッシ)と共に男1人女3人の生活を始めるが、やがて男を巡って娘と骨肉の争いをするというもので、「スキャンダル」と少し似ているかも(この映画も、エロチックだが演出はしっかりしている)。
原題"チカラ"はイタリア語で「蝉」の意。ガソリンスタンドの住み込み店員となって、こうした出来事の推移を目の当たりにする少女チカラは、この映画に出てくる「男1人女3人」の中で唯一ノーマルと言えるかも(最後は、蝉が木から飛び立つように、店から逃げ出すところで終わる)。
ヴィルナ・リージ Virna Lisi

主演のヴィルナ・リージ(Virna Lisi、1937年生まれ)は、若い頃はジャック・レモン主演の「女房の殺し方教えます」('64年/米)などにも出たりしましたが、演技派指向なのに英語の話せないイタリア人の役をあてがわれ、結局、自分をセクシー女優としてしか見ないハリウッドに見切りをつけ、主にヨーロッパで"演技派"兼"セクシー女優"として活躍した人。
「スキャンドール」にはノーメークで出ていますが、当時43歳だったけれども(役柄上、少し怖さもあったが)美貌は健在で、「スキャンダル」に出た時41歳だったリザ・ガストーニと並び、強烈な印象を抱かされた、イタリアの"熟年"女優でした。
「スキャンドール 禁じられた体験」●原題:LA CICALA●制作年:1980年●制作国:イタリア●監督・脚本:アルベルト・ラットゥアーダ●製作:イブラヒム・ムーサ●撮影:フレッド・ボンガスト●音楽:ダニロ・デジデリ●原作:ナターレ・プリネット/マリナ・デ・レオ●時間:99分●出演:アンソニー・フランシオーサ/ヴィルナ・リージ/レナート・サルヴァトーリ/クリオ・ゴールドスミス/バーバラ・デ・ロッシ●日本公開:1982/02●配給:ジョイパックフィルム●最初に観た場所:池袋・日勝地下(82-05-03)●2回目:新橋文化劇場(83-09-17)(評価:★★★☆)●併映(2回目):「ホテル」(カルロ・リッツァーニ)

池袋スカラ座・日勝文化・日勝地下 現・池袋東口ビックカメラ池袋本店付近、1995年閉館


サルバトーレ・サンペリ 2009年3月4日、ローマ郊外の自宅で死去、64歳。