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予定調和だが、それなりに楽しめた。映画の方は「スーパーの女」などと比べるとやはり...。
『県庁の星 (2) (ビッグコミックス)』 (全4巻)
桂 望実 『県庁の星』
Y県のエリート県庁職員である野村聡は、民間との人事交流プロジェクトに選ばれ、スーパー富士見堂で1年間の研修を受けることになるが、最初は役員根性・県庁マインド丸出しだった彼が、全く肌違いの民間の仕事を通して変質し、真の"スーパー改革"を実現するに至る―。
公務員って、民間で言う「出向」のことを「研修」と言ってるみたいですね(「研修(出向)」と言っても、労務提供はしているわけだが、民間の「出向」と異なり、労災の請け元は官公庁のまま)。
ということで、実質的なマンガの舞台は県庁内では無く、前半部分(1巻・2巻)はスーパーマーケット。
後半部分(3巻・4巻)は、スーパーの経営を建て直した彼が、第3セクター赤字テーマパークを"潰す"ために送り込まれますが、前半からの流れで、結果はともかく、彼がどう立ち回るかは大体予想がついてしまいます。
官庁の上層部や主人公の同期の役人の描き方はパターン化していて、事の展開もかなりご都合主義ですが、それでも、主人公とその教育係であるシングルマザーのパート女性とのやりとりも含め、結構楽しく読めました。
"ギャグ的"に面白いというか、テーマパークに赴任した初日、「名刺を猿に配って終了」には思わず噴きました。

'05(平成17)年から'07(平成19)年にかけて「ビッグコミックススペリオール」に連載されたコミックで(桂望実の原作を杉浦真夕が脚色)、連載途中の'06年に織田裕二主演で映画化されていますが(実際に制作されたのは'05年。「白い巨塔」などのTVドラマを手掛けた西谷弘の映画初監督作品)、織田裕二って本気で演技してそれが丁度マンガ的になるようなそんな印象があり、こうした作品にはピッタリという感じでした。
「県庁の星」●制作年:2006年●監督:西谷弘●製作:島谷能成/亀山千広/永田芳男/安永義郎/細野義朗/亀井修朗●脚本:佐藤信介●撮影:山本英夫●音楽:松谷卓●原作:桂望実「県庁の星」●時間:131分●出演:織田裕二/柴咲コウ/佐々木蔵之介/和田聰宏/紺野まひる/奥貫薫/井川比佐志/益岡徹/矢島健一/山口紗弥加/ベンガル/酒井和歌子/石坂浩二●公開:2006/02●配給:東宝(評価:★★★)

但し、スーパーを舞台にした作品では、伊丹十三(1933-1997)監督、宮本信子主演の「スーパーの女」('96年/東宝)があるだけに、それと比べるとインパクトは劣るし、「スーパーの女」が食品偽装問題など今日的なテーマを10年以上も前から先駆的に扱っていたのに対し、「県庁の星」は映画もマンガもその部分での突っ込み度は浅く、単なるラブ・コメになってしまったきらいも無きにしも非ずという感じ。
「スーパーの女」●制作年:1996年●監督・脚本:伊丹十三●製作:伊丹プロダクション●撮影:前田米造/浜田毅/柳島克巳/高瀬比呂志●音楽:本多俊之●原作:安土敏「小説スーパーマーケット」●時間:127分●出演:宮本信子/津川雅彦/三宅裕司/小堺一機/伊東四朗/金田龍之介/矢野宣/六平直政/高橋長英●公開:1996/06●配給:東宝(評価:★★★★)
『お葬式』('84年/ATG)で映画界に旋風を巻き起こした伊丹十三監督でしたが、個人的には『マルサの女』('87年/東宝)がドラマチックで面白かったです(山崎努がブホテル経営者"権藤"を演じているが、彼が新人として出演した「天国と地獄」('63年/黒澤プロ・東宝)で三船敏郎が演じていた会社社長の苗字も"権藤"だった)。
それまであまり世に知られていなかった国税査察部の捜査の様子をリアルに描いたということで社会的反響も大きく、翌年には『マルサの女2』('88年/東宝)も作られましたが、以降は何となく作品が小粒になっていたような気がしたのが、この「スーパーの女」を観て、改めて緻密かつパワフルな伊丹作品の魅力を堪能できた―、と思ったら、翌年には自殺してしまった。残念。
「マルサの女」●制作年:1987年●監督・脚本:伊丹十三●製作:玉置泰/細越省吾●撮影:前田米造●音楽:本多俊之●時間:127分●出演:宮本信子/山崎努/津川雅彦/大地康雄/桜金造/志水季里子/松居一代/室田日出男/ギリヤーク尼ヶ崎/柳谷寛/杉山とく子/佐藤B作/絵沢萠子/山下大介/橋爪功/伊東四朗/小沢栄太郎/大滝秀治●公開:1987/02●配給:東宝●最初に観た場所:新宿シネパトス (88-03-12)(評価:★★★★)●併映「マルサの女2」(伊丹十三)
新宿シネパトス (1956年「新宿名画座」→1987年「新宿シネパトス」→「新宿ジョイシネマ5」→1997年「新宿ジョイシネマ3」) 2009(平成21)年5月31日閉館
『企業家サラリーマン (講談社文庫)』
「スーパーの女」の原作は、『小説スーパーマーケット』(『小説流通産業』('81年))で、作者の「安土敏」こと荒井伸也氏は元サミット社長であり、この人の『企業家サラリーマン』('86年/講談社、'89年/講談社文庫)は面白かったですが、こちらもテレビドラマ化されているらしい。どこかで再放送しないものかなあ。
