【1224】 ○ 岩田 一男 『英単語記憶術―語源による必須6000』 (1967/03 カッパ・ブックス) ★★★★

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無味乾燥な記憶対象としてではなく、英単語に知的関心を抱かせるという点で親しみ易い本。

英単語記憶術 語源による必須6,000語の征服.png 『英単語記憶術―語源による必須6000語の征服 (カッパ・ブックス)』 ['67年]

 ロングセラーである『試験にでる英単語』('67年/青春新書)は、その章立てが、「派生語」がトップに来ていて、「接頭語・接尾辞」が最後に来ていることからも分るように、単語を例えば接頭語・接尾語でグループ分けして覚えていくやり方が特徴の1つで、このスタイルを受験参考書に採り入れたのが画期的だったということかも。

 但し、受験参考書類に限らなければ、この方式は翻訳家や通訳を目指す人向けの本に既にあったように思われ、一般向け(ビジネスパーソン向け?)の新書では、『試験にでる英単語』の少し前に刊行された本書『英単語記憶術』('67年/カッパ・ブックス)があり、章立ても「語根による記憶術」、「接頭辞による記憶術」、「接尾辞による記憶術」...となっていて、ここで採られている方式がまさにこれに当たります。

 この本、松岡正剛氏も「千夜千冊」で取り上げていています、。

 ―サンフランシスコへ行く飛行機で難波祐介が隣の席でしきりに本を読んでいる。他人が何を読んでいるのか覗くクセはないので、ずうっとほうっておいたのだが、二人旅の飛行機ではそれでは退屈しすぎるか、失礼かのどちらかなので、つい「それ、何?」と聞いてみた。それが本書だった。 難波君は建築出身のプロデューサーで、世界中の空港を出入りした数と頻度ではめったに他人に負けないコスモポリタンである。体力にも民族にも風土にも自信があって、クウェートに石油パイプを引くプロジェクトもタイに300校の小学校をつくるプロジェクトなども、日本人は難波君ひとりが切り盛り役だった。 したがって英語はペラペラ、しかも早口でも喋れる。その難波君がかわいいカッパブックスの英語学習の本を読んでいる。しかも、岩田一男だ。例の大ベストセラー『英語に強くなる本』の姉妹本なのだ。それもこれからサンフランシスコに行こうとしている飛行機で夢中に赤線やら青線を引っぱっている。 「おもしろいの?」と聞くと、「いやあ、これ、よくできてますよ」と言う。(「千夜千冊」第219夜/2001年1月30日より)

 松岡氏自身も読んでみて「中身はなるほどうまくできている。少なくともエティモロジー(語源学)の学術本よりはずっと工夫がしてあるし、ハンディな語源辞典のたぐいの白々しさもない」と。

 著者の岩田一男(1910-1977)は英語の語源学の権威だった人で、語源にまつわる話がエッセイ風に取り上げられているのが読み易く、また1ページ1テーマで纏めているので(接頭・接尾辞をグループ化している)、どこからでも読めるという利点がありました。

 受験英語の参考書として使うにはちょっと悠長な感じもしますが、無味乾燥な記憶対象としてではなく、英単語に知的関心を抱かせるという意味では、親しみ易い本でした。



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