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ヴェネチア・カーニヴァルの妖しげな彩り。映画「ヌードの女」を思い出した。
『夢のアロマVENEZIA』 ['08年]
『アリゾナの青い風になって―Spiritual Journey (Up‐Front Books)』 ['07年]
ヴェネチアのカーニヴァルは、1年の豊作を祈って農民の間でローマ時代から始まったものが当地の風習となり、18世紀には1年の半分近くがカーニヴァルだったこともあるとかで、今でもシーズンには欧州中から観光客が集まりますが、中でも仮面舞踏会を想わせるような仮装にその特徴があり、「仮面カーニヴァル」とも言われています。
本書は、『アリゾナの青い風になって―Spiritual Journey』('07年/アップフロントブックス)でアリゾナ北部にあるバーミリオンクリフ・ウィルダーネスという特別自然管理地域を旅行記風に撮った写真家が、今度はこのヴェネチアのカーニヴァルで様々に仮装する人々を撮った写真集で、こうしてみると「リオのカーニヴァル」の仮装などとは随分と雰囲気が違うなあと。
白塗りの無表情な仮面などはちょっと恐さを感じさせ(ホラー映画にもよく出てくるなあ、こういうの)、キンキラ系はキンキラ系でこれまた神秘的な妖艶さを醸しています(屋敷の主人たちと召使たちが一晩だけ入れ替わるというダニエル・シュミット監督の映画「今宵かぎりは...」('72年/スイス)で、召使の前で踊る主人乃至旅芸人がつけていた仮面を思い出した)。
写真は大判で何れも美しく、「街」よりも「人」や「衣装」にフォーカスして、その妖しげな彩りを青い空や水路の水の色と対比させているのがいいと思いましたが、ゴージャスな分、やや点数的には物足りないかなという気も。
このヴェネチアのカーニヴァルを背景とした映画に、ニーノ・マンフレディ(1921‐2004)監督・主演の「ヌードの女」('81年/伊)と言う、'84年の「イタリア映画祭in東京」で上映された作品があったのを思い出します(マンフレディは元々俳優。この作品の当初の監督アルベルト・ラットゥアーダ(「スキャンドール」('80年/伊)の監督)と意見が合わず、自分で監督することになった)。

老舗の古書店の娘と結婚して十数年経つ夫(マンフレディ)は、自らもローマからヴェネチアに移り住んで古書店を営もうとするがうまくいかず、芸術家の間で顔が広い妻(エレオノーラ・ジョルジ)に対するコンプレックもあって2人の関係はやや冷え切り気味だが、そんなある日、芸術家達の集いの場となっている知人の屋敷で、妻にそっくりの女の大判ヌード写真を見つける―。
やがてカフェで、派手なカラフルな娼婦の衣装を身につけたその写真のモデル、妻そっくりの女リリー(エレオノーラ・ジョルジが二役を演じている)を見つけ、男は彼女のところへ通いつめるようになるが、彼女がケガをした日に家に帰ると妻も同じところをケガしたりしていて、更に、カーニヴァルの夜、自宅からリリーの家まで屋根伝いで行ける近道を偶然に発見する―。

カーニヴァルの翌朝、男はリリーと並んで焼きカボチャか何かを食べていますが、もう男にとってリリーが妻と同一人物であろうとなかろうとどうでもよく、目の前に愛する人がいるだけで満ち足りた気分になっているという、ミステリ的要素がありながら謎は最後まで明かされないという終わり方ですが(その方が却って洒落ていていい)、ある意味、女性に妻と娼婦の2役を求める男の願望を表した作品であるともいえます。
大らかな艶笑コメディの伝統を有するイタリア映画ならではの作品ですが、ヴェネチア・カーニヴァルの幻想的な雰囲気が映画のストーリーによくマッチしていたように思います。

「ヌードの女 (Nudo di donna)」 [VHS/Import]


「ヌードの女」●原題:NUDO DI DONNA●制作年:1981年●制作国:イタリア・フランス●監督:ニーノ・マンフレディ●脚本:ニーノ・マンフレデ/アージェ・スカルペッリ/ルッジェロ・マッカリ●撮影:ダニロ・デシデリ●音楽:ロベルト・ガットー/マウリッツィオ・ジアマルコ●時間:103分●出演:ニーノ・マンフレディ/エレオノラ・ジョルジ/ジョルジュ・ウィルソン/ジャン=ピエール・カッセル/カルロ・バーノ●日本公開:1984/10●配給:イタリア会館●最初に観た場所:銀座文化1(84-10-04)(評価★★★☆)
「銀座文化1・銀座文化2」 「銀座文化/シネスイッチ銀座」

銀座文化1 (60年代「銀座文化劇場/銀座ニュー文化」、70年代「銀座文化1・2」、1987年〜「銀座文化/シネスイッチ銀座」、1997年〜「シネスイッチ銀座1・2」)
